超富裕層なのにあえてエコノミーに乗る人
実はこんな人がいました。もともと社長令嬢で、今や自らも会社を興しており、仕事では主にビジネス、場合によってはファーストに乗ることもあるものの、自分で席を取るプライベートな旅では、あくまでエコノミーを選ぶという人が。子供の頃から家にお金があっても贅沢は許されないという育てられ方をしたこともあるけれど、飛行機の中に無理矢理作られたヒエラルキーを目の当たりにするのが嫌で、とりわけビジネス席に座る自分の横をエコノミーの人が通っていく時に、何か身の置き所のない後ろめたさがあるからと言うのです。
おそらくこういう人がファーストに乗れば、元CAが絶賛するような素晴らしい顧客となるのでしょう。そしてビジネスでは、物静かにほぼ何も要求せずにパソコンに目を通しているはず。ビジネスは一方で、洗練された乗客の割合も最も高く、この人はその典型でもあるはずなのです。
結局どんなクラスにいても、優れた人格は優れているし、残念な人格はより残念なことになるというだけのこと。それを、ファーストクラスの女性は、「ガツガツ映画を見ない」とか、「よく読書している」とか、その行間に見えてくる誇張された階級意識には、やっぱりもやもやしてしまうのです。エコノミーでも、無料の新作映画にガツガツせず、文字ばかりの本を読んでいる女性は少なくないはずなのに。
エコノミーの人も目礼くらいする
1番気になったのが、ファーストクラスの女性は乗り込んできた時に、「ちゃんとアイコンタクトをしてくれる」という記述でした。正直ゾロゾロ束になって乗り込まなければいけないエコノミーは、全員がCAとアイコンタクトを取れるような環境にはないにもかかわらず、CAの「ようこそ」と言う挨拶に、きちんと目を見て微笑む人、目礼する人、「こんにちは」「お世話になります」と答える人は、実際少なくないはずで。それが人として当たり前の振る舞いだからです。下位の乗客が、そういう最低限の常識までないかのように語られてしまうのは決して容認できません。
ただ悲しいかな、飛行機の中では本当に人間が色分けされているかに見えてしまうのは否めない事実。ファーストは一人一人が“一体何者?”感を漂わすし、ビジネスの人はひとまず頭が良さそうに見え、エコノミーは皆、気がいい人に見える……単に座席とスペースをいくらで買ったか? の違いだけなのに、そういうバイアスがかかって見えることは、それぞれ肝に銘じておくべきなのかも。
実際、売り上げ的にはファーストとビジネスだけで8割以上を占めるというから、商売的にエコノミーはオペラハウスの立ち見席みたいもの。新幹線のグリーン車と普通車ではありえない、乗客のわかりやすいタイプの分類が炙り出されても仕方のない構造にあるのは確かなのです。
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