今まで似合っていたはずの服が似合わない。何を着たらいいか分からず、自分に自信が持てなくなってきた……。40歳前後で訪れる体型や環境の変化によって、ファッションに惑う時期のことをミモレは「おしゃれ更年期」と呼んでいます。

悩み多きこの時期を、おしゃれによってどう前向きに乗り越えていくのか? 自身も「おしゃれ更年期」に悩んだという大草直子コンセプトディレクターが、その実体験をもとに「おしゃれがラクになる」処方箋を指南します。
今回は、ここまでにわたり提案してきた処方箋を振り返るとともに、私たちの人生に「おしゃれ更年期」が起こる意味についても考えてみたいと思います。

 


関連記事
女の人生に何度かくる「おしゃれ更年期」。予防策と乗り越え方とは?>>


シャツにパンツ。「甘くなった体のライン」に寄り添う服選びとは?


「おしゃれ更年期」は、自分自身の身体に起こる変化が主な要因です。たとえば体型の変化。 体重が変わっていなかったとしても、全体的に体のラインが甘くなったり、二の腕や背中、腰回り、太ももなど自分では見づらい後ろ側にお肉がついたり……。こんなときに気をつけたいのは、「服」と「自分」の間のニュアンス。体のラインがはっきりわかるジャストサイズのものではなく、服と自分の間に空気を一枚挟むようなゆとりのあるサイズ感を選ぶこと。それだけでぐっとすっきりと見えます。

シャツ¥38500、ニットパンツ¥42900/ハーヴェル スタジオ(TSI) ブーツ¥64900/ロランス(ザ・グランドインク) 時計¥418000/オメガ(オメガお客様センター) ブレスレット¥16500/アンセム フォー ザ センセズ(アマン) 

シャツを選ぶなら、特に丸くなってくる肩、甘くなってくる二の腕の後ろ側などをカバーしてくれているかをチェックしながら選んでみてください。

パンツ¥5390/エルーラ(アダストリア) ニット¥24200/ガリャルダガランテ(ガリャルダガランテ 表参道店) バッグ¥150700/J&M デヴィッドソン(J&M デヴィッドソン 青山店) フラットシューズ¥46200/ブレンタ(エストネーション) ピアス¥39600、リング(右手)¥46200、リング(左手)¥82500/マリハ(マリハ)

腰回りが以前よりも豊かになってきたり、太もものハリが強くなってきたり、年齢を重ねて変化が出てきた体型に合うパンツは、腰回りにゆとりのあるテーパードシルエット。脚をまっすぐに見せてくれるセンタープレス入りがおすすめです。そして選ぶときのポイントは、「入る」ことではなく「体型に合っている」こと。体型に合っているかの見極めポイントは、センタープレスのラインが歪んでいないかどうか。パンツをはいて前から見たときにセンタープレスがきれいな直線でなく、がたついていたら、それは体型に合っていない証拠です。横から見たときにチェックしたいのは膝まわり。膝が出ていたら、それも体型にあっていないからだと思って下さい。


大人の「清潔感」は意外な小物が味方になってくれる!


私自身、年齢を重ねていくなかで、肌や髪の潤いやツヤが失われていくのを感じてきました。日々の肌や髪のケアやでツヤを足すことはもちろん大切ですが、反対に、華やかさ、圧倒的な存在感、強さなど、大人になったからこそ得られるものもあります。得るものもあれば、失うものもある。それは当然のことですよね。でも、失ってしまったからといって諦めたり悩む必要はありません。ファッションで補えばいいんです。では何を補うかといえば“光”。特におすすめはパールのピアスです。もっと具体的にいうなら、ランダムに光を跳ね返すバロックパールのピアスです。

 

ピアス[白蝶パール13mm、K18YG]¥198000/ボン マジック ニット¥46200/ニアー ニッポン(ニアー) パンツ¥27500/サードマガジン ベルト¥25300/プントヴィータ(ウィム ガゼット 青山店) バッグ¥162800/J&M デヴィッドソン(J&M デヴィッドソン 青山店) パンプス¥28600/2.718(ガリャルダガランテ 表参道店) バングル(細)¥19800、バングル(太)¥29700/アダワットトゥアレグ

実は真円ではないバロックであることがポイントで、このランダムさは大人にしか似合いません。ぐっと寄っても引いて全身で見ても、存在感があり、13㎜の一粒パールで清潔感をしっかりと補ってくれています。私自身がおしゃれ更年期を抜けるきっかけをくれたのもボンマジックのバロックパールのピアスでしたし、抜けた今も迷ったときに美しく照らし、戻る場所になってくれています。

大人になり、自信がつき、存在感や強さ、華やかさが増していく。でも、同じくらい着こなしには「フレッシュさ」も必要。フレッシュさがないと、それまでと同じように服を着ていたとしても、どこか古臭く見え、印象としての若さ(年齢としての若さということではなく)が失われていってしまうのです。

 

アップルウォッチ/大草ディレクター私物 ニット¥38500/チノ(モールド) スカート¥75900/ユニオンランチ(サザビーリーグ) バッグ¥20900/メゾン ヴァンサン、ブーツ¥90200/ネブローニ(フラッパーズ)

そんなときに取り入れたいのはアップルウォッチのようなスピード感をプラスしてくれるテクノロジーアイテム。先端性をMIXすることで、着こなしも印象もぐっと軽やかでフレッシュに見せてくれます。ベーシックでクラシックな着こなしに対照的なアップルウォッチを合わせるコーディネートは、パリで見かけた素敵なマダムから学んだスタイルです。


頼りにしていた「黒」が似合わない……。それでも着たいときは?


ベーシックカラーとして多くの人が頼りにしている「黒」ですが、「おしゃれ更年期」になると、突然似合わなくなる瞬間があります。先ほどもあげたように髪や肌の質感の変化が原因です。でも、だからといって黒を着ないほうがいい、ということではありません。

ライダースジャケット¥151800/チンクワンタ Tシャツ¥17600/ユニオンランチ、バッグ¥63800/マーレット(サザビーリーグ) スカート¥35200/ウィム ガゼット(ウィム ガゼット 青山店) ブーツ¥33000/2.718(ガリャルダガランテ 表参道店) 

そんなときは黒の選び方、着こなし方を変えればいいのです。目の詰まったウールのようなマットな黒は避け、レザーやサテンのようなツヤのある黒、薄手のシャツやニットのシアーな黒を選べば大丈夫。加えて、清潔感のある白と一緒に取り入れることで、失われた髪や肌のツヤやハリを補うことができます。

また無理して黒を着る必要はなく、今の年齢になったからこそ似合う色を着るというのもひとつの解決策です。

ニット¥64900/ADORE デニムパンツ¥36300/マザー(サザビーリーグ) ストール¥39600/アソースメレ×カオス(カオス表参道) バッグ¥37400/ナヌーシュカ、ブーツ¥64900/ロランス(エストネーション) サングラス¥27500/ブラン

たとえばグレーをたっぷりと含んだスモーキーな色。曖昧でニュアンスのある色は、若いお嬢さんよりも年齢を重ねたご婦人にこそ似合う色です。そしてグレイッシュな色は大人の肌によくなじんでくれて、他の色とも合わせやすい。今回のコーディネートのようにグレイッシュな色同士を重ねるのもおすすめです。

 
  • 1
  • 2