今まで似合っていたはずの服が似合わない。何を着たらいいか分からず、自分に自信が持てなくなってきた……。40歳前後で訪れる体型や環境の変化によって、ファッションに惑う時期のことをミモレは「おしゃれ更年期」と呼んでいます。
ミモレ創刊以来、何度も取り組んできたこの「おしゃれ更年期」というテーマ。悩み多きこの時期を、おしゃれによってどう前向きに乗り越えていくのか? 自身も悩み、迷い、そして乗り越えたという大草直子コンセプトディレクターが、その実体験をもとに「おしゃれがラクになる」処方箋を指南します。
「おしゃれ更年期」とは、40歳前後で訪れる、今まで着ていた服が似合わなくなる時期のことを指した造語です。年齢を重ね、体のラインが甘くなり、髪や肌のツヤやハリが失われ、ご自身のステージが変わる。身体と環境で起こる変化によって、何を着てもしっくりこない時期が「おしゃれ更年期」です。
もしかしたら、真っ只中の人もいるかもしれません。でも、安心して下さい。処方箋はありますし、抜け出すことも必ずできます。抜け出して、再びおしゃれを楽しんでいる人もいると思います。今の私がまさにそうです。脅すつもりはありませんが、「おしゃれ更年期」は何度かやってきます。でも、一度しっかりと自分に向き合って乗り越えれば、二度目、三度目はきっと大丈夫。
”28歳の自分”を見るのをやめることが抜け出す第一歩
誰にもやってくる「おしゃれ更年期」に慌てないためにしておきたいのが、今の自分に向き合うこと。ちゃんと自分に興味を持って観察することです。もちろん毎日何度となく鏡で自分の姿は見ているはずなのですが、実のところ、多くの人が鏡の中に28歳の自分を見ています。35歳くらいまでなら、それでもやり過ごすことができたのですが、40歳目前になり、その開きが10歳以上になると、さすがに違和感が出てきて面食らってしまう……。自分を客観視するいちばんの方法は、写真に写った自分見ること。しかも定期的に、そして正面からだけでなくサイドや後ろ姿も撮って見ることです。
間違えないで欲しいのが、どうにかして28歳の自分を取り戻そうということではないんです。今の自分を受け入れて、今の自分に似合う服を着て、似合わない服はお休みする。おしゃれを諦めるということではなく、服の選び方自体も変えていく。たとえば同じシャツというアイテムでもシルエットや素材を変えることで似合うこともありますし、その年齢だからこそ着られるものも多々あるのです。
私自身も黒が似合わなくなり、着なかった時期がありました。乗り越えた今は、本当によく黒を着ていますが、それでもオードリー・ペップバーンの代名詞のようなマットな素材のタートルネックニットは今も着ていません。マットな素材を着るなら、ノースリーブなり、デコルテが開いているなど肌見せされているもの。タートルネックを着たいならシアーな素材で、といった工夫は必須です。おしゃれ更年期以前の私なら、大胆にデコルテの開いた服はトゥーマッチな気がして着られなかったけれど、今は変に気負うことなく着られるようになりました。
変化する体・髪・肌を放っておかずにケアすることが大事
もうひとつ「おしゃれ更年期」を乗り越えられた理由として、身体のラインを変えたこともあると思っています。決して痩せたということではなくて、体を動かして(私の場合はヨガでした)、甘くなっていた身体のラインを引き締めるようにしました。服は身体を包み込むもの。だから、その土台となる身体を整えるということは、避けられないことだと思います。そして髪や肌のケアも大きく変えました。失われたツヤやハリを補うために、オイルが欠かせないアイテムになりました。
大草ディレクターが考える「おしゃれ更年期」の変化の要素
①体型の変化:全体に丸みを帯びてボディラインが甘くなる
②肌と髪の変化:清潔感にも繋がる“ツヤ”や“ハリ”が失われる。
③ステージの変化:仕事や育児の役割などの環境変化により、服に求める要素にも変化が訪れる。
より具体的な処方箋となってくれる服の選び方、コーディネート術やメイクやケアについては次回から順番にお届けしますね。
大草ディレクター提案の「おしゃれ更年期」の処方箋コーデ
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2回目:【おしゃれ更年期】体型が変化してきたときこそ、シャツの実力発揮!
3回目:【おしゃれ更年期】万能カラーの「黒」が似合わない!その悩みを解決する2つの方法とは?
4回目:「入る」ではなく「体型にあう」パンツの見極め方とは?【おしゃれ更年期】
5回目:成熟した大人の清潔感を讃える「一粒パールのピアス」が私を救ってくれた【おしゃれ更年期】
6回目:マンネリ打破に効くのは”テクノロジーアイテム”
7回目:対談・おしゃれ更年期を左右する「肌と髪の話」
<お問い合わせ先>
マディソンブルー tel. 03-6434-9133
出演/大草直子
取材・文/幸山梨奈
構成/朏亜希子(編集部)
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