飲む薬が増えれば増えるほど、不適切または不要な処方が混ざるという問題が起こりがちです。では、そうした問題はどう防げば良いのでしょうか。

薬の管理というのは、最終的には薬を飲む個人にかかっていると言っても間違いではありません。そういう意味では、個々人がしっかりと自分が持つ病気について理解を深め、それに対してどのような薬を今飲んでいるのか、その薬の適切な飲み方、薬の有効性やリスクについてしっかりと理解をしておくことが何よりの対処法かもしれません。

しかし、それは薬が一つや二つならもしかしたら可能かもしれませんが、薬が増えてくればそういう訳にもいかなくなるでしょう。そこで大切になってくるのが、信頼できる「かかりつけ医」「かかりつけ薬局」の存在です。

かかりつけ医は全体を見る指揮者のような存在


時に、かかりつけ医というのは、風邪をひいたなど困った時にだけ相談をする存在で、普段は心臓のことは心臓の専門家に、肺のことは肺の専門家にかかっているから大丈夫というようなお話を伺うこともあります。

もちろん、専門的な知識やスキルが必要とされる病気を持っていれば、心臓の専門家も肺の専門家も必要かもしれません。

しかし、もしそれぞれの専門家の間で連携が取れていなければ、それはオーケストラに例えてみれば、天才的なヴァイオリニスト、天才的なトランペット奏者、天才的なピアニストをそれぞれ集めて、皆に自由に演奏をさせているようなものです。きっとそれぞれの奏でる楽器の音は素晴らしいものなのでしょうが、全体としての音楽はバラバラで、せっかくの天才の能力が台無しになってしまいます。

そこで必要とされるのが、その専門家をチームとしてまとめ上げる指揮者の存在です。チーム内の交通整理をして、全体を見渡すような司令塔がいれば、きちんといい音楽が奏でられるのではないでしょうか。

 

よく考えてみれば、人は心臓と肺だけで生きているわけではありません。腎臓も、肝臓も、それぞれの臓器がしっかりと機能することで健康が維持されています。だからと言って臓器の数だけ医師にかかるという訳にもいきません。このため、特に修理が必要な臓器だけを専門家に任せて、残りの部分はかかりつけ医に任せるという形にするのが理想的なのです。

 

それにより、薬の管理という点でも、大きなメリットが生じます。