多様性を持っている人ができていること


価値観の多様性を持つと、自分自身がもっと自由になることができ、精神的に楽になります。逆を言えば、自分と違う人を否定してしまう人は、「こうあるべき」という固定観念を抱き、自分のことも縛っていることが多いのです。そして、「自分は我慢をして、こうしているのだから、あなたも同じことをするべき」と、相手に求めてしまうところがあるのです。
法やルールを犯かしたり、人を傷つけたりするようなことでない限り、「絶対に、こうあるべき」なんてものは、ほとんどありません。
「先入観や固定観念を手放す」ことを学ぶことができたら、「こうあるべき」ではなく、「必ずしも、こうでなくてもいいんだ」と思えるようになるもの。そうしたら、“自分を縛り付けていたもの”も解放することができ、もっと自由になれることがあるのです。

 

価値観の多様性を持たない人は、人間関係を壊しがちです。例えば、「自分が正しい」と思いすぎている人は、自分の望むことを相手がしてくれないと、気が済まないところがあります。それで相手を思い通りにしようとするところも。
でも、多くの人が、自分をコントロールしてくるような相手は苦手です。自分には自分の人生があり、相手のために生きているわけではないですしね。だから、人をコントロールしようとすればするほど、相手は離れていってしまうのです。
さらに、価値観が凝り固まった人は、お節介をやいてしまうことが少なくありません。本人は良かれと思っていても、相手からしてみたら、「ありがた迷惑」になってしまいます。
人それぞれに「幸せだと思うこと」「心地よいと思う環境」は違います。一見不幸そうに見える人でも、本人は納得していて、幸せに過ごしていることはあるのです。
自分の物差しや一般常識だけを正しいと思って幸せを押し付けてしまうと、相手にしてみては、「不必要なガラクタを無理やり渡されている状態」になってしまいます。それでは、感謝されるよりも、煙たがれてしまうでしょう。
つまり、価値観の多様性を持たないと、自分も相手も不自由になり、調和できなくなってしまうので、生きづらくなってしまうのです。

基本、柔軟な価値観を持っている人は、「一般的かどうか」にこだわらない分、自分らしく自由に幸せに過ごしています。そして、「生き方も価値観も人それぞれ」だと考えているので、自分と違っても、OKなのです。
だから、多様性を持つためにも、まずは自分自身が常識に縛られずに、“自分ならではの価値観”を持つようになって、幸せになることが大切。そうすると、価値観が違う人がいても、否定するのではなく、「“そういう人”なのだ」と思って、受け入れられるようになるのです。結婚していても、していなくても、子供がいても、いなくても、異性が好きでも、同性が好きでも、どんな生き方をしていても、OKなのです。
「こういう生き方をしなくてはいけない」ではなく、「そういう生き方もあるよね」と思えるからです。

ただし、誤解をしてはいけないのは、「協調してくれない人(折り合いをつけられない人)のことまで受け入れなくてはいけない」と言っているわけではありません。それでは、自分が我慢をするしかなくなってしまいますしね。
意見が違う相手とは折り合いをつけていくことが大切ですが、なかには、相手のほうが一方的に自分の言い分を押し付けてくるケースがあります。
そういう相手とは距離を空けて、影響を受けないようにしたほうがいいし、被害が大きい時は法的手段をとったほうがいいこともあります。
結局、お互いが協調できなければ、関係を続けるのは厳しくなります。協調できない相手をOKとするのが、多様性ではないのです。

多様性を持つとは、「自分と相手の違いを認め、受け入れる行為」ですが、見方によっては「自分と相手の差をとっていく行為」でもあります。それは、どういうことでしょうか。