食費を家族3人、月5万円に抑えたら、幸福度がどんどん上がった_img0
 

お金をたくさん稼ぎ使っていた頃と比べて、収入も支出も小さくしてからのほうが、QOL(生活に対する充実度)が明らかに上がっているというエッセイストの小川奈緒さん。

50歳を目前に、お金や暮らし、ファッションにまつわる習慣や思い込みの見直しを綴った新刊『ただいま見直し中』から、今回は賢くたのしい食費のやりくりについてご紹介します。


家計簿アプリで節約もゲーム感覚


増税や年金問題、その後はコロナによる世界的不況もあり、家計管理や節約術といった特集が、新聞やテレビや雑誌などでも増えたと感じる。 
わたし自身、保険の見直しをきっかけに、どんぶり勘定で生きてきたこれまでの自分が今さらながらはずかしくなって、ちゃんとお金の勉強をしないと、という意識が芽生えた。そのため、以前なら素通りしていたそうした特集も、なるべく真面目に見るように心がけているのだけれど、1つ問題なのは、フリーランスの場合は収入額が月によってまちまちだということ。
よく専門家が提唱している「食費は収入の○%に抑えるべし」といったルールを適用することができないので、収入に関係なく、使うお金の額は結局自分で決めるしかない。

 

少し前から、スマホに家計簿アプリをダウンロードし、買い物のたびにその支払額を入力している。食材の買い出しで毎回いくら使っているか、1か月でどれくらいの出費になっているかが一目瞭然で、とても便利だ。 

買い物へ行くと、支払いを終えた直後、スーパーの荷詰め台でレシートを撮影して入力をすませてしまうこともあるし、それができなければ、帰宅して食材を冷蔵庫にしまったらすぐに入力する。夜更けのダイニングテーブルに家計簿を置いて、コツコツ数字を書き込むような堅実な主婦像からはほど遠いが、それでも、食費の記録を通して見えてきたことがある。

うちの場合、家族構成は大人2人と中学生1人。大人はともに在宅ワーカーで、コロナ禍前から外食はめったにしないため、自炊率9割以上。それで1か月の食費は平均5万円という実態である。年末年始など、ごちそうをつくる機会が増えると、そのぶん支出も増えて6万円を超えてしまう月もある。でも、その後また普段通りの食事に戻れば、だいたい月5万円に収まる。

また、週末の楽しみとして飲んでいるお酒がずっとワイン党だったのが、グルテンフリーの食生活によって和食の献立が増え、それにともない日本酒を買うことが多くなった。そのせいでお酒代が以前より減ったかも......なんて変化が、家計簿アプリのグラフから読み取れる。なんだかゲームみたいで楽しくて、質素倹約の意識はほとんどない。

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平日にお酒を飲むのをやめたら、週末がもっと特別になった。以前より和食の献立が増えたせいか、最近は日本酒がおいしい。

たとえば月の真ん中あたりに食材の買い出しへ行き、支払い額の入力を済ませると、あれれ、今月もう3万円超えちゃったわ、なんてことがよく起こる。そんなときは自然に「あと2週間を1万5千円でどうしのぐか」というサバイバルモードにスイッチが入るのがおもしろい。