頭で考えたことを選んで、自分の本当の思いを引っ込めていませんか?【産婦人科医・高尾美穂】_img0
 

温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)が、5月27日に発売になりました。新刊から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。


心に最初に浮かんだ思いを
塗りつぶさないで 

頭で考えたことを選んで、自分の本当の思いを引っ込めていませんか?【産婦人科医・高尾美穂】_img1
 

私たちの心の中では、見聞きしたものや、起こった出来事に対して、必ず最初に浮かぶ思い、つまりファーストインプレッションがあります。
そして、それをそのまま言葉やアクションにして表すかどうかを決めるのが「頭」です。
心の動きといっても、何も心が動かないことがファーストインプレッションということもあります。

 


頭が生み出した言葉やリアクションを選んでばかりいると、心の病の原因にも


たとえば、実際には何も心が動いていないのに、「わ〜可愛い」とか 「すご〜い」などと言ってしまうこと、ありますよね。
これが、頭が生み出している言葉やリアクションです。

自分の心は何も動いていないゼロの状態だったのに、こう言ったほうがいいだろうなと頭が考えたことを選んで、プラスの言葉を発しているのです。

私たちの頭は、これまでの経験から、こういうリアクションをとっておいたほうが問題がないという判断をします。

でもそれは、自分のファーストインプレッションと違っていることが少なくありません。 

人から仕事を頼まれて、「嫌だな」と思ったのに、その気持ちを飲み込んで「じゃあやっときます」と言ってしまった場合は、自分の気持ちをマイナスからプラスにもっていってリアクションをしている状態。

これはさらに心の振れ幅が大きく、この差が大きいほど、つらくなっていきます。
そしてこんなことを繰り返すうちに、自分の頭が自分の本当の思いを塗りつぶしていることもわからなくなってしまいます。 

たとえば、1枚の絵を見て、自分は好きだなと思ったのに、周りの人の評価は低い場合、好きだと言ったら変に思われるかなと思って、好きだと感じた思いを引っこめてしまう。

頭で考えたことを選んで、自分の本当の思いを引っ込めていませんか?【産婦人科医・高尾美穂】_img2
 

こんなこともついやってしまいがちですが、これを繰り返すと、自分はこれが好き、自分はこれが楽しいといった思いが生まれにくくなってしまいます。

その結果、無表情になったり、感情が湧きにくくなったり、自分で判断することができなくなったり、周りの人の言ったことが自分の意見だと錯覚してしまうようになったりといったことも起こってきます。
それが積み重なると心の病につながることもあります。

 
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