「私は、“お洒落に法則なし”といつも思っています」
そう語るのは、いつも色鮮やかなドレスにキラキラと輝く宝石を身にまとい、神々しいオーラを放つ美輪明宏さん。2000年刊行の著書『天声美語』から20年の時を経て、新装版として登場した本の中で美輪さんは、誰にも倣わず、邪魔されず、自分らしさを楽しむもの――それがファンションなのよ、と教えてくれます。そこで今回は『新装版 天声美語』より、今なお輝き続ける珠玉のメッセージを、一部抜粋してお届けします。


「控えめなほうが好感度が高い」なんてナンセンス


もちろん、シンプルにまとめるほうがいい場合だってありますよ。いいけれども、それがすべてではありません。

装飾過多。楽しくって大いにけっこうじゃありませんか。美しければ、どんどん目立ってもいい。“いったい何だろう”と思わせるのが遊び心で、それが許される“個”を確立していくことがお洒落になるということです。

「控えめなほうが好感度が高い」なんてナンセンス。美輪明宏さんが語る“着飾るお洒落”のすすめ_img1
 

ドラマティックな美しさや遊び心、粋(いき)、あるいは微笑ましさ、つつましさ、可愛さ、優雅さ、ゴージャス、厳粛さという具合に、お洒落はいろいろなニュアンスを楽しむためのもの。星の数だけお洒落があるんです。「……ねばならぬ」なんて法則はどこにもない。「アクセサリーをつけすぎてはいけない」とか「控えめなほうが好感度が高い」なんてナンセンスです。似合いさえすれば何を着たっていいんです。

 

だから、みなさんも「私ほど洗練された人間はほかにいない」といわんばかりの表情でまくしたてる、卑しい連中の戯れ言に、惑わされないようになさったほうが賢明です。そういう人たちほど、いつも偏った、とおり一遍のオシャレしかしていないのですから。それは、たとえるなら、毎日朝から晩までお茶漬けだけ食べている不思議な人たちのようなものです。