全世界的な物価と金利の上昇を受けて、住宅ローンの金利(固定金利)が上がっています。多くの人が利用している変動金利に動きは見られませんが、今後、諸外国の物価や金利がさらに上昇すれば、変動金利にも影響が及ぶ可能性があります。今回は物価が上がるとなぜ金利が上がるのかについて解説します。この仕組みが分かれば、借金をして不動産を買うことの損得についても、理解を深めることができるでしょう。

 

今回、上昇したのは住宅ローンの固定金利です。固定金利を決める基準となっているのは10年物国債ですが、利回りが上昇している(つまり国債が売られている)ため、各行は固定金利の引き上げを決定しました。2月から適用する基準金利について、三菱UFJ銀行は3.39%から3.49%に、三井住友銀行は3.4%から3.5%に、みずほ銀行は2.75%から2.8%になります。

住宅ローン利用者の多くは変動金利で借りていると思いますが、変動金利は国債ではなく、短期プライムレートを基準に金利を決めています。今のところ短期プライムレートに動きはありません。

しかしながら、固定金利(つまり長期金利)が上昇したということは、世の中がインフレ傾向になっていることを意味しています。さらに物価上昇が進んだ場合、変動金利も上昇する可能性はゼロではありませんから、物価の動きには注意しておく必要があるでしょう。もし変動金利に動きが波及しなければ、それはそれでよいことですし、もし上昇するのであれば、前もって準備しておいた方が慌てずに済みます。

基本的に金利というのは物価と連動して上がるものですが、なぜ物価が上がると金利も上昇するのでしょうか。分かりやすく言うと、物価が上がっている時に金利が上昇しないと、お金を貸している人が損をしてしまうからです。

AさんがBさんに100円を貸し、1年後に利子1円(利子率1%)を加えて返済してもらうケースを考えてみましょう。

利子はお金のレンタル料と捉えることができますから、Bさんは利子1円(レンタル料1円)を払って、Aさんから100円を借り、1年後にレンタル料と一緒にお金を返すという取引になります。この取引は、1年後の物価は100円を貸した時点と同じであることが前提なので、Aさんは1円の利子をもらえばそれで利益を得られます。しかし1年後に物価が上がっていた場合、話は変わってきます。

 
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