落ち着いたかと思えばぶり返してくるコロナウイルス。さすがに2年も続くと「いい加減、コロナのない世界を味わいたい!」とうんざりしてきます。そんな現実逃避を渇望している人たちにうってつけなのが、昨年末にシーズン2の配信がスタートしたNetflix『エミリー、パリに行く』です。
ウザさが一周回って最強の魅力を発揮するヒロイン、シーズン2はさらにパワーアップ!
このドラマは2019年にシーズン1がお目見えすると、さすが『セックス・アンド・ザ・シティ』のプロデューサーが手がけているだけあって、女性たちのツボを心得た内容に。奇抜なファッション、エネルギッシュな女性登場人物たち、そしてカオスな恋愛と、賛否は別としてついつい惹きつけられてしまい、あっという間に大人気の作品となりました。
物語は、アメリカ人のエミリーがパリのマーケティング会社に赴任し、そこで恋に仕事にオシャレに奮闘する、というもの。シックでこなれたフランス流オシャレなんておかまいなしの、カラフルでトゥーマッチなファッションでKYにパリの街を闊歩するエミリー。隙あらば街を背景に自撮りし「ステキすぎて自分に恋しそう」なんて投稿。我がもの顔で振舞っているものの、実はフランス語はほとんど話せない。そう、とにかくエミリーはウザいのです。ウザいのですが、このウザさが一周回って最強の魅力となっているのです。
しかし正直言うと、私はシーズン1のときはこの作品にあまりハマることができませんでした。エミリーのイタいリア充ぶりに、「今の時代、さすがにこのテンションは古くないか?」と共感できなかったのと、人の彼氏だろうが何だろうが「ダメダメ」と言いつつ侵食するエミリーの無自覚な無神経さも、若干受け付けなかったから。
だからシーズン2も、『新聞記者』も『恋慕』も見終わったしとりあえず見ておくか、ぐらいのローテンションで見始めたのです。ところが……、これがめちゃくちゃ面白い。楽しい。アガる。もうやめられなくなり、恥ずかしながら夜更かしを厭わないティーンのように、わずか2日で10話を一気見してしまったのです。
清々しいまでのコロナ無視っぷり作品が癒やしになる
では何がそんなに良かったのかというと、ひとえに清々しいまでのコロナ無視っぷりです。思えばシーズン1が配信スタートした2019年の秋は、私たちは初めて経験するコロナに完敗感を覚え、何とかウィズコロナ社会に馴染もうと努力をしていた時期ではないかと思います。そんなときに「パリ、サイコ―!」、「#眺めのいい部屋」なんてアゲアゲなドラマを見せられても、その秀逸さに関係なく、一抹の違和感を抱かざるを得ませんでした。だってこんな生活、再びいつできるのか全く見えないし……。あまりに非現実で、当時の私の心持ちには全く合わなかったのです。
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