15年住んだ東京・目黒の地を離れ、旦那さんの実家である新潟県三条市に移住した捧直美さん。夫婦で経営するインテリアデザイン事務所のオフィスはまだ東京に残したままですが、生活の拠点は完全に新潟に移しました。前回の記事で紹介したように、どうせ田舎に住むなら自然豊かなエリアを……と思って物件を探したところ、家賃はなんと6分の1に! そんな捧さんに、今の暮らしと移住して良かったことについて伺いました。
日々素晴らしい景色に魅了されていて
「移住して良かったこと? それはもう景色が素晴らしいことに尽きます。息子を保育園に迎えに行く道からは粟ヶ岳と守門岳という大きな山が見えますが、周りは田んぼで奥に山々が見えて、その景色がすごく広くて。特に夕方は西日が綺麗で、そういう景色の中で日々暮らせるのは楽しいなと思いますね。私はもともと山が好きで、山頂で1泊して見る夕方と明け方の空がすごく綺麗で大好きだったんですね。それが日常にあったらいいなと思っていましたが、山に登ることなく実現できてしまった。
ここは季節感もすごく感じられる環境で、たとえば田植えの時期は田んぼ一面水が張られて、それが緑になって黄色になって刈り取られて、そこに雪が積もって真っ白になって……ってすごく綺麗なんですよね。それが日常というのがすごくいいなと」
ここには美味しく暮らす術を知る人がたくさんいる
捧さんが日々の幸せを感じるのは、山の景色に見惚れる時だけではありません。自宅の敷地内には大家さんが管理している畑があり、いつでも好きに野菜を穫っていいよと言われていて、そのありがたみにも日々感動しています。
「大家さんのご厚意で、植え付けやお世話もしていないのに好きなだけ野菜を収穫させていただいていますが、これがどれも本当に美味しいんですよ。今は大根を雪の下から掘り起こしていますが、全然辛味がなくて。季節の野菜がタダでいただけるので、この冬は大根もネギも里芋も買っていません。周りのご近所さんも皆さん畑をやられているので、夏はトマトや枝豆、秋はなめこや焼き芋など、あらゆるものをお裾分けしていただきました。
美味しい飲食店は東京に比べて少ないですが、その分ここで美味しく暮らす術を知っている人たちがたくさんいるんですよね。今はそういう方たちに“美味しい暮らし方”を教えてもらいたいなと思っています。自分のスペックさえ上げれば、いくらでも美味しいものにありつける。それが楽しくてしょうがないですね」
捧さんの住むエリアは、ご近所さんの多くが60代後半から70代前半のご夫婦で、その親のどちらかが同居しているというケースが多いそう。それでもお向かいさんがたまたま横浜からUターンしてきた同世代の家族で、もともと知り合いのいなかった捧さんも寂しさは感じないと言います。
「自分が歳を取ったからかもしれませんが、どんな世代の方とも意外と仲良くできてしまうというか。世代を超えて、ここにはぜひお話ししたいと思う方たちがたくさんいます。住んでいる地区の自治会長さんともお話しするような仲になりましたが、よくよく聞いたら実は昔アパレルのデザイナーだったということが分かり、バブル時代のデザインやミラノサローネの話で盛り上がったり。奥様も元パタンナーで、今は加茂のニットの工場でアドバイザー的なお仕事をされていますが、こんなところでデザインやミラノサローネの話をすることがあるんだって、すごくびっくりしています」
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