料理に限らず頑張っている人はめちゃくちゃ素晴らしい


最後に、リュウジさんは料理すること、特に他人のために料理を作ることの素晴らしさについてこのように述べています。

「料理は愛情っていうけど、家族全員のために料理を用意するってこと自体がもう愛情ですよね。ぼくはいつもひとりで食べているから、実家に帰って料理が出てくると、それだけでものすごく嬉しい。もし自分のために料理してくれる人が身近にいたら、大切にしてあげてほしいな。それが当たり前になってたら、なおさら」

リュウジさんのあたたかいまなざしは、料理をする人だけでなく社会全体にも向けられていました。この優しさが根底にあるからこそ、彼の「簡単で美味しい」レシピの数々は人々の心をつかんで離さないのかもしれませんね。

 

「今、『好きなことを仕事に!』って社会がなってますけど、一部の人たちはものすごく心苦しいだろうなと思うんです。でもその人たちも頑張っていて、家に帰ったら家族が待ってるとかペットが待ってるとかゲームが待ってるとか漫画が待ってるとか、そういう楽しみってめっちゃ素晴らしくないですか。好きなことを仕事にしてる人ももちろん素晴らしいけど、好きではない仕事を頑張ってる人もめちゃくちゃ素晴らしいってことを僕は言いたいです。だれかのために料理を作るという仕事も、その1つだと思います」

『リュウジ式至高のレシピ 人生でいちばん美味しい! 基本の料理100』
著者:リュウジ ライツ社 1650円(税込)

人気料理研究家のリュウジさんが、食卓によく出る基本の料理100品を、「邪道極まりない」簡単な手順で美味しく作る方法を伝授する「超・実用的」なレシピ集。料理する人への思いやりから生まれたレシピの数々と、リュウジさんのあたたかいコメントに心が癒されます。



撮影/土居麻紀子
スタイリング/本郷由紀子
構成/さくま健太