新興国の経済成長によって需要が拡大しているところにコロナ危機による物流の混乱や品不足が発生。今度はコロナ危機からの景気回復期待によって各社が一気に注文を増やしました。これによって、ありとあらゆるモノの値段が上がっているのです。
今回、発動された経済制裁によって天然ガスと小麦の価格が上昇した場合、一連の物価上昇にさらに拍車がかかる可能性があります。日本の天然ガスはカタールなどから輸入しているので、燃料がなくなるということはありませんが、価格は上がってしまうので、最終的には電気代やガス代に跳ね返ってきます。また、天然ガスが上がると、確実に原油価格も上がります。国内のガソリン価格は原油価格と連動しているので、ガソリン代にも影響します。
一連の物価高騰を受けて、今年の4月から値上げを予定している企業は多いのですが、ウクライナ情勢次第では、値上げ幅が拡大するかもしれません。家計にとっては要警戒といってよいでしょう。
ウクライナ侵攻やそれに伴う経済制裁がどの程度、続くのかによって変わってきますが、長引くと欧州を中心に景気にも悪い影響を与えます。その悪影響が日本にも波及し、企業の業績が伸び悩むことも考えられます。
整理すると、短期的には物価上昇に拍車がかかる可能性があり、中長期的には一部企業の業績悪化とそれに伴う賃金の抑制が予想されます。良くないことばかりで言いにくいのですが、物価が上がって、給料が上がらない可能性が高いとの結論にならざるを得ません。
こうしたことからも分かるように、戦争というのは、私たちの生活に悪い影響ばかり与えます。人道的な見地からはもちろんのこと、経済的な見地からも、ロシアのような行為は国際社会として封じ込める努力が必要だと思います。
ロシアとウクライナは停戦をめぐる協議をスタートしました。短期間で何らかの停戦合意が得られ、ロシアに対する制裁が緩和された場合には、上記の影響は最小限で済むでしょう。しかし、交渉が決裂した場合には、制裁も継続することになりますから、一連の影響がジワジワ悪化すると予想されます。まずは停戦合意が実現することを祈りたいと思います。
前回記事「日本経済は30年間ゼロ成長…「能力はあるのに結果が出ない」人や組織の共通点とは」はこちら>>
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