いくつになろうが、「おばさん」と呼ばれて「うれしい!」と感じる人は少ないものです。
フランス語の「マダム」とは、違う響きがありますしね。
個人的には、そもそも「年齢によって呼び方が変わるのって、どうなんだろう?」と思うのです。現代の感覚でいうと、時代錯誤に感じます。
海外では、日本語の「おばさん」と同じようなニュアンスの呼び方はあるのか。また、日本で“「おばさん」にかわる呼び方”はないのか、考えてみました。
海外で、日本語の「おばさん」と同じ呼び方はあるのか
海外では、「おばさん」にかわる呼び方はあるのでしょうか。ちょっと調べてみました。例えば、英語では、「年齢によって呼び方が変わる」ことはありません。女性の敬称として、結婚している人には「ミセス」、独身者を「ミス」を使います。また、どちらにも使える「ミズ」という言葉もあります(※ビジネスの場面は、ほぼ「ミズ」が使われているようです)。
さらに、アメリカ英語では、敬意を示して女性を呼ぶときに「マアム(ma’am)」を使います。年齢は関係なく、成人の女性に対して使われるそうです。
イタリアでは、未婚女性に対して「シニョリーナ」、既婚女性に対して「シニョーラ」と呼びますが、年齢で区別する呼び方はない、とのこと。
韓国では、おばさんのことを「アジュマ」「アジュモニ」といいます。「アジュマ」は、砕けた言い方で、店員さんを呼ぶときに使ったり、年齢に関係なく既婚女性に対して呼んだりするのだとか。「アジュモニ」は丁寧な言い方で、年上の女性に対して敬意をもって使うそう。日本語とはニュアンスがちょっと違います。
フランスでは、結婚している人を「マダム」、独身者を「マドモアゼル」と呼んでいましたが、2012年からは、フランスの行政文書で「マドモアゼル」は使用廃止にされ、既婚か未婚を問わず全ての女性を「マダム」で統一されています。
フランスの場合は、「マダム」には“一人前の大人の女性”というリスペクトの思いが含まれているため、逆に「マドモアゼル」と呼ばれると、“未熟な女性”だと言われているような気分になる女性もいるのだとか。
それと似ているのが、中国です。実年齢よりも高めの呼称にしたほうがいいそう。「おばさん」に当たる「阿姨(āyí)」は、相手に敬意を払っている言葉で、人生の先輩だと思う若い女性に対しても使うことがあるのだとか。
ここまで見ていくと、海外は、年齢ではなく「未婚・既婚」で呼び方が変わる国がありますが、それすらもなくなってきています。現代は、事実婚などが増え、結婚の形が多様化してきているし、差別にもなりかねないからです。
また「おばさん」に似た呼称がある国であっても、年上の女性に対して“敬意を表す呼称”として使われていて、そう呼ばれることに誇らしさを感じさせるところがあります。
それで言うと、日本の「おばさん」という言葉には、敬意が含まれていないのが問題です。日本では相変わらず「若さにばかり価値をおく」といった残念な思想がはびこっているので、「おばさん=人生のピークを過ぎた人」といったニュアンスが含まれることもありますしね。
実際に、年を重ねることは悪いことばかりではありません。たとえ体力が落ちることはあっても、今までの経験によって得られた知識や磨かれた人格によって、若い人にはない魅力を持っている人もたくさんいます。
でも、日本には、そんな素敵な年の重ね方をしてきた女性(男性)に使えるような呼称がありません。
敢えて代替するとしたら、「おばさま(おじさま)」かもしれませんが、使う人を選ぶような上品さが加わってしまい、どこか呼ぶのに気恥ずかしさがあります。
しかも、これからの時代は、「年齢による区別をしない呼び方」のほうがいいでしょう。
では、どんな呼び方にすればいいのでしょうか。私なりに考えてみました。次のページに続きます。
【漫画】「そこのおばさん! 落としましたよ!」と言われても、絶対に振り返りません
▼右にスワイプしてください▼
- 1
- 2
Comment