東京電力の今年1月の電気料金は平均的な世帯で7631円でしたが、2月は7961円、3月は8244円と毎月、上昇しています。原油価格はここからさらに跳ね上がっていますから、理屈上は同じペースかそれを上回る上昇が考えられます。一方で電気料金には急激な価格上昇による家計負担の増加を防ぐ目的で、上限値が設定されています。

今の電気料金を設定した時の燃料価格を基準にして1.5倍に上昇した時には、それを超える分は利用者に転嫁することができません。すでに関西電力や中国電力など複数の電力会社が上限に達しており、当面はこれ以上の価格上昇はなくなります。東京電力も計算上はそろそろ上限一杯ですので、今回の原油価格の上昇によって上限に達するのはほぼ確実でしょう。

電力会社がこの上限を超えて値上げする場合には、あらたに電気料金を申請し直す必要がありますから、相当ハードルが上がります。家計にとっては一安心というところですが、上限を超えた分については電力会社が負担せざるを得ません。もし原油価格が下がらないようであれば、値上げを申請する電力会社が出てきても不思議ではありません。

原油高騰の影響はどこまで?意外と知らない「電気料金の算出方法」とは_img0
値上がりが続くガソリン小売価格(写真は2022年11月当時)。写真:アフロ

一方、ガソリンは原油から精製しますので、基本的に原油価格に連動して動きます。このペースで上昇が続いた場合、1リットルあたり190円や200円という水準も視野に入れる必要が出てきます。

永田町ではガソリン価格を抑制するため、石油元売り会社に対して補助金を出しており、3月10日からは金額5円から25円に引き上げられました。しかし、十分な効果が得られていないことから、ガソリンにかかっている揮発油税などの税率を下げる、いわゆるトリガー条項の発動も検討されています。

 

ガソリン価格には、1リットルあたり50円以上の税金がかかっています。このうち約25円分が本来の税金ですが、上乗せ分として約25円が課税されてきました。この25円分を取り除くのがトリガー条項の発動で、実施されれば約25円、ガソリン代が下がります。

ただ、下がった分については政府の財源が足りなくなるため、国債など別の財源を手当てする必要があり、政府は慎重な姿勢です。また、25円安くなっても、原油価格自体がさらに上昇すれば、ガソリン価格は上がってしまいます。

すべてはウクライナ情勢次第ということになりますが、戦闘行為が継続していると原油供給が不安視され、ほぼ確実に価格が上昇します。まずはロシアに対して戦闘行為をやめさせるよう、国際社会が圧力をかける必要があるでしょう。


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