“あざと可愛い”を全肯定した番組『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)が、いま多くの共感を集めています。同番組では、MCを務める田中みな実さんと、弘中綾香さんが、全力であざとテクを繰り広げる。視聴者から募ったあざとい男女のエピソードを、「すごい!」「勉強になる!」とMC陣が全肯定していく企画もあります。かつて、“ぶりっ子”と揶揄されていたものが、“あざと可愛い”として支持される時代になってきました。本稿では、その変遷をエンタメとともに振り返っていきたいと思います。

 


ぶりっ子の反動としてのサバサバ女子


ぶりっ子というと、80年代を代表するアイドル・松田聖子さんを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。上目遣いでカメラを見つめ、小首をかしげる……そんな可愛らしい仕草に、世の男性たちはノックダウン。けれど、女性陣の間では“ぶりっ子=媚び売り”の方程式が定着していたはずです。「もっと可愛く見られたい!」「たくさんの人にモテてみたい!」と思っても、それを実践するのは一種のタブーでした。

 

そこからしばらくは、サバサバ女子が憧れを呼ぶ時代が続きます。男に媚びるのではなく、自分の足で歩いていく。W浅野ブームを巻き起こしたドラマ『抱きしめたい!』(フジテレビ系)の池内麻子(浅野温子)も、そのタイプでしたよね。スタイリストとしてバリバリ働いて、大きな家に住んでいる。ほしいものは自分で買い、毎日お洒落な洋服を身に纏う。白馬の王子様を待つのではなく、幸せは自分でつかみ取りにいく。女性の生き方の変化が、ドラマのヒロイン像に影響していたのでしょう。