言いそびれた言の葉たち。いつしかそれは「優しい嘘」にかたちを変える。
これは人生のささやかな秘密と、その解放の物語。
第26話 シングルマザーの逆転大作戦④
「私立女子校生がみんな派手な暮らしをしているか、ですか? それは学校によります。確かに『有閑倶楽部』みたいな学校もありますが、とくに進学校や新しい学校は一般のサラリーマン家庭もたくさんいらっしゃいます。
それも含めて、校風が佐知さんやご家庭に合うかどうか、きちんとご自身の目で確かめてみてはいかがでしょうか。校風が合うかどうかは、じつは偏差値よりも大切なことですよ。私学はそれぞれカラーが全く異なりますから」
昨夜は、元夫の信也に私学の様子を聞き、自分の身に何かあったときには遺すお金で佐知を卒業させてやってほしいと頼もうとしていた桃香。しかし彼に訊く代わりに信頼する塾の先生に尋ね、返ってきた言葉にホッと胸をなでおろした。
すると塾長は、じっと桃香を見たあと、意外な言葉を口にした。
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