理不尽な場面に遭遇した時、すぐに言い返したり、とっさに機転をきかせた対応をできればいいのですが、現実はなかなかそういかないのが難しいところ。Twitterフォロワー数が15万を超える類さんの漫画『がんばれ! コッペパンわに』でも、パン屋を営む主人公の「コッペパンわに」が神出鬼没の困ったお客さんたちに遭遇。見事に撃退してスカッとすることもあれば、ただただ振り回されてしまうことも。大人も子どもも読めるほんわかした本作に散りばめられたのは、妙にリアルな“接客あるある”でした。今回はそんな本作から、コッペパンわにの奮闘ぶりを少しだけ覗いてみたいと思います。


接客は一筋縄ではいかない!? 店主を困らせるお客さんたち


主人公のコッペパンわには、街の小さなパン屋「ベーカリーわに」の店主。パンをこよなく愛し、おいしいパンを街の人に届けようと毎日仕事に精を出しています。

 

お店をやっていれば、時には思わずモヤモヤしてしまうお客さんがお店に来ることも。気が弱くて優しい性格のコッペパンわには、そのたびに右往左往してしまいます。ある日は「嫌いな具があったからとりかえてくれない?」と言って、なんと食べかけのパンを持ってくるお客さんが襲来。

 

その日は居合わせた他のお客さんに運良く助けてもらいましたが、別の日には混雑する時間帯のレジ前で怒り出すお客さんや、開店前や閉店後なのに店に入ろうとしてくるお客さん、さらに「おたくの商品にゴミが混じってたの!」とありもしないクレームをつけてくるお客さんまで登場。困ったお客さんに翻弄されるコッペパンわにの姿は、接客経験者にはきっと“あるある”の光景に映るはず……。

 

「困ったお客さん」までいかなくても、焼き目のきれいさでパンを選ぶ客、焼きたてにこだわる客、何も買わずに両替えだけお願いしてくる客にも、コッペパンわには思わずモヤモヤ。理不尽なクレーマーではないけれど、注意したほうがいいの? こういう時は一体どうするのが正解なの? 本作ではそんなシーンもたびたび登場します。

 

コッペパンわには思わず、心の叫びを抑える用の“マイ食パン”に顔をうずめて悶絶。現実の接客の現場でも、お客さんに嫌な思いをさせてはいけないと考えて、強く言えないこともあるよね……と、接客のバイト時代を振り返ってしみじみした筆者です。

 

それでも、コッペパンわににはその優しい性格を慕う仲間と、この店のパンが大好きと言ってくれるお客さんがいます。そんな人たちに励まされながら、心の耐性を少しずつ鍛えていくコッペパンわに。

気弱な性格ゆえに接客では大変なこともたくさんあるけれど、その優しさに救われるお客さんたちがたくさんいることも、本作ではしっかり描かれています。

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接客あるある!? 開店前に現れるちょっと困ったお客さん
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