おうち時間が増えて、インテリアや器などにこだわりたいという方も増えているのではないでしょうか。今日は、ブランディングディレクターとして工芸や地方創生にも取り組む行方ひさこさんのご自宅を訪問し、こだわりのインテリアや暮らしまわりを彩る愛用の器についてうかがいました。

行方ひさこ●アパレル業界でデザイナー、ディレクターとして活躍。40代に入ってからは、長年関心の深かった工芸や食、地方創生の分野の仕事も増え、伊勢丹新宿店にて心惹かれる美しい工芸や日用品を展示するポップアップストアをキュレーションするなど、多方面で活躍。プライベートでは、昨年末引っ越した都内の新居で愛猫2匹と暮らしている。

「リビングルームにある大きな家具は、前の家から持ってきたダイニングテーブルのみ。以前コンランショップでアイアン脚だけ購入したのですが、それに合わせてガラス板を別注したものです。ソファーなども置きたいな、と思いつつも、気に入ったものが見つかるまで新しい家具は買わないし、買えない派。前の家の時から『自分の好きなものだけを置きたい』という気持ちで暮らしていたら、引っ越しで運ばれてきた家具はこのテーブルと、チェスト、そしてベッドだけ。部屋の中はやはりガランとしたままです(笑)。

ずっとファッションのお仕事をしてきていたのですが、昔から器や工芸が好きで。個人的に作家さんの窯を訪ねたりしているうちに、お仕事の依頼を受けるようになり、近年は器作家さんとコラボレーションしたり、日本各地の美しい工芸品や日用品を集めたイベントのキュレーションなどをさせて頂くようになりました。そうして出会った日本各地の作家さんの素敵な器も自宅に増えてきています。食品を開発する仕事の関係で、豆板醤などの調味料を試作しているのですが、それに合う料理を作って味わったり。コロナ禍でますます器を楽しむ機会も増えてきました」(行方さん)

 


自然なヴィンテージ感が愛おしい、
愛用のチェストは25年超の付き合いに

ガラス戸の中には愛用の雑誌や書籍をディスプレイ。納まりきらなかった本を左右に並べて、チェストの前にちょこんと置かれた猫の絵本もキュート。今読んでいる本は、右側のカゴに入れて持ち運んでいるそう。
自然光が差し込む寝室でリラックスしながら本を眺める行方さん。愛猫がとびらを開けて中に入っていることもあるそう。

「黒の木枠と内側の朱赤の配色が印象的なチェストは、25年ほど前に表参道のイデーで見つけたもの。商品ではなくディスプレイとして使われていたものだったのですが、どうしても欲しくて、お願いして譲ってもらいました。その当時でもかなり古いものだったと思いますが、何回かの引っ越しを経てもずっと手放さずにいる、とても愛着のあるものです」

「他の家具を買うまでは、ひとまずここに集結させている」というチェストの上には、行方さんが少しずつ集めた小ぶりのオブジェや花器が。

柔らかな円の形が心和む小山剛さんの壁掛けのオブジェ。(チェストの上、左から)Maboroshiの茶香炉、竹内絋三さんの花器、エルメスの馬のオブジェ


建築家の友人にオーダーしたアーチ型ミラーで
四角い空間に柔らかさを

リビングルームで存在感を放つミラーは横1m×縦2mの特注サイズ。海外のインテリア雑誌やインスタグラムなどを参考に発注したそう。

「思い描いた形がなかなか見当たらず、友人の建築家にオーダーして作ってもらったオリジナルの鏡です。市販のサイズより大きめのものが欲しくて、1m×2mのサイズにしました。部屋の中には角が多いので、アーチ型の方が女性らしくて良いかなと。下部に真鍮を巻いたのもちょっとしたこだわりなんです」

暮らしのなかにアートを置いて
シンプルな空間のアクセントに

木製の壁掛けのオブジェは、軽井沢の木工作家・小山剛さんの作品。「東京で展示会をされていた時に購入しました。ご自身はあまり表に出ないのですが、とても素敵な雰囲気の方です」(行方さん)
京都の陶芸家、山田由起子さんの花器。人の体のように見える独特なフォルムが特徴。こちらは木の実が弾けた様子なのだそう。

「山田さんは、以前から気になっていて、関西を訪れた際、途中下車して京都へ展示を見に行った作家さん。そこで見た作品のひとつを引っ越すタイミングで購入しました。今にも動き出しそうな独特なフォルムが人っぽくて愛らしいですよね。花器ですが、私はオブジェとして飾っています。手にした人次第で用途が変わるもの、一見すると用途が分からないものにすごく惹かれます」

 
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