忘れっぽい、混乱するとフリーズする、パニックになりやすい……発達障害がある人によくみられるこうした特性は、どれも仕事の現場で「つまづき」の原因になることばかり。お子さんにこんな特徴があり、将来が心配、というお父さんお母さんもいるかもしれません。

漫画家かなしろにゃんこ。さんの息子・リュウ太くんも発達障害があり、同じような特性で困っている一人でした。

リュウ太くんが経験した失敗とは、そしてその中で得たものとは? 大人になったリュウ太くんにも取材したコミックエッセイ『発達障害で問題児でも働けるのは理由がある!』(監修・解説:石井京子、講談社)から、印象的なエピソードをご紹介します。

 

はじめてのバイトで「社会の目」を知ったよ


発達障害のある息子・リュウ太くんに、早いうちから社会勉強をさせたいと考えたかなしろさん。本人には家計が厳しいことを口実にアルバイトを勧め、一方で、リュウ太くんを働かせてもらえるよう友人のラーメン店に話をつけてきていました。

 

なぜそこまでしたのか? それは、発達障害があることをあらかじめ理解してもらっていたほうがリュウ太くんも働きやすいはず、と考えたから。もともと「作業しながら人の話を聞いたことを記憶するのが苦手」なリュウ太くんですが、初めての接客はうまくできるのでしょうか……?

 
 
 
 
 
 

こうして初めてのバイト先で1年3ヶ月間、駅前開発でお店が閉店するまで働き続けることができたのでした。リュウ太くんはこの経験でお金を稼ぐ大変さや楽しさを知り、さらには「社会の中に入っていく自信がついた」と振り返ります。

『発達障害で問題児 でも働けるのは理由がある!』の監修・解説をつとめた石井京子さんは、「発達障害のある子は社会性が育ちにくい傾向があるので、家族以外の人と関わりをもてる場を作るのはとても重要です。アルバイト以外でも、社会性を身につけられる機会はいろいろとあります」とアドバイスしています。