親が老人ホームの入居を考える時、まずは予算と立地の面から候補を絞っていく人が多いのではないでしょうか。ですが、住み慣れた実家周辺のエリアで探せば良いのか、子ども世代が住んでいる家の近くで選べば良いのか、決めかねている人も多いかもしれません。今回の相談者・慶子さんも、何を基準に施設を選べば良いのか考えあぐねていました。慶子さんの話を伺ってみましょう。

 


母を亡くした父がやむなく老人ホームへ


私は半年ほど前に母を亡くし、残された父親のことがずっと気がかりでした。83歳になる父は介護認定を受けていますが、もっとも介護度が低い要介護1なので、食事や排せつといった身の回りのことはほぼ1人で行えます。ですが、慣れない自炊は嫌だと食事はお惣菜に頼りがちで、栄養が偏ってしまうことが心配でした。そこで父と話し合った結果、今後のことも考えて、夜間や急病対応もしてくれる有料老人ホームを探すことになったのです。

そもそも公的な介護保険施設である特別養護老人ホームは、要介護3以上の人しか入居資格がないので入れません。また、父は介護度が高い人の中に入るのは抵抗があるということで、選択肢は有料老人ホーム一択でした。

実家は持ち家ではありませんが、父はサラリーマンとして堅実に働いてきたこともあって、貯金は2000万円ほどあります。また、月々の年金も15万ほどもらえるので、有料老人ホームに入ることに対して抵抗はありませんでした。

ただ、悩んだのが立地です。実家は埼玉県大宮市にあり、私は夫と子どもと東京の目黒に住んでいて、気軽に通える距離ではありません。老人ホームは父の終の住処として考えているので辺鄙すぎるところも嫌ですし、かといって予算との兼ね合いもあるので……。何を基準に選べば良いのでしょうか。

 
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