好きな物事やライフスタイルがブレない一方で、新しい流行や情報も積極的に追いかけ必要に応じて取り入れる柔軟さも持ち合わせている、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。長年、第一線で活躍されていますが、昔からちっとも変わらない、肩の力の抜けた自然な若々しさに、お会いする度に密かに驚愕させられます。多くのアラフィフ女性がぶち当たるであろう「そんなつもりなくても迫力出てしまう問題」とも無縁そうです。本連載ではなめ子さんが自らのアンテナに引っかかった事象を紐解く過程をコラム+漫画の形でお届けすると同時に、「アラフィフの壁」を無理なく、軽やかに越えるヒントを読者の皆様に与えられれば幸いです。

第一弾はなめ子さんもプライベートで愛用中、家庭用美顔器でおなじみのヤーマン株式会社を深掘りします。連載第1回第2回と「顔を鍛えるジム」がコンセプトのヤーマン経営「FACE LIFT GYM」にて美顔器を用いたトレーニングを受け、顔の表面だけでなく精神も鍛えられたなめ子さんは、本社で開発担当の社員さんにお話しを伺うことに——。
 

特許レベルの技術で新しい美容機器を発明したい


次々と新しい美容機器をリリースしているヤーマンという会社はいったいどんなところなのでしょうか……今回取材させていただくことになりました。

ブランドイメージから、青山あたりにありそうだと思っていたら、意外にも場所は東陽町で、建物は堅実な雰囲気です。チャラついたところは一切感じさせないオフィスに入ると、商品が展示されている部屋に案内されました。壁一面には、美容機器で取得してきた特許証がずらっと並んでいます。これでもごく一部だそうですが、菊の御紋入りの特許証を見ると、「発明の名称」の項目がなかなかシュールです。「美容処理装置」「痩身トリートメント装置」「下着電極」「複合美肌装置」など……。お役所向けに説明するとこんなかしこまった単語に。実際の商品名は「フォトプラス」とか「スカルプリフト」だったりするのでしょうか。それにしても特許レベルの発明品が次々と出ているのも驚きです。「実用新案は取らない、特許しかいらない、という社風だそうです。特許レベルの技術で新しい美容機器を発明したい、という意気込みがあるんです」と、PRの井上さんはおっしゃいます。

「ファンデーションも使ってみようと...」美顔器&アプリ開発担当の理系男子は語る_img0
「YA-MAN APP」で自分の顔を写すと、顔の筋肉の分布や名前がわかります。

ヤーマンの美顔器は1台で何役もあるのが普通ですが、年々記憶力が衰えている身としては、使いこなせるか心配です。そんな迷える大人のために、アプリでトリートメント方法をレクチャーしてくれる「YA-MAN APP」も出ているとのこと。ARやトラッキングなどの技術を使っている高度なアプリだそうで、開発部門・電気設計部の金子さん(もうすぐ30歳)にお話を伺いました。マスクごしですが、中村倫也のような雰囲気の理系男子です。

「どうやったらお客様が使いやすいか突き詰めていくのが大変でした。やっぱりビジュアルでどこをトリートメントしたのがわかるとモチベーションも高まって、継続的に使っていただく動機付けになります。かつ、適切な動かし方の勉強にもなって効果も実感していただけます」と、金子さん。

 

アプリのカメラに自分の顔を映しながら美顔器を動かすと、トリートメントした部位の色が変わったり、側頭筋、大頬骨筋、咬筋、といった筋肉の名前が出てきたりして楽しいです。

 
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