厚生労働省の統計によると、2025年には将来推計730万人もの人が認知症になると言われています。これはかなり前から言われていることですが、65歳以上の約5人に1人が認知症になるというこの現実、いつ自分ごとになってもおかしくありません。

脳の機能低下は40代後半ごろから始まりますが、離れて暮らす親が気づけば認知症になっていたということもあるでしょう。では家族がそんな状況に直面した時にどうすれば良いのか、認知症の発症によって増す介護費用のことなども含めて、今回の相談者・綾子さんと一緒に考えてみます。

 


親が認知症の疑い、その時家族は……?


私の母はアルツハイマー型認知症です。半年ほど前「最近少し物忘れが多くない? 同じことを何回も話すよね?」という程度の時に診察を受けました。母には目的も伝えず「病院に行こう」とだけ言い、幸いにしてうまく連れ出すことができました。今思うと「認知症の検査」という言葉を使わなかったことが良かったのかもしれません。

誤診になると困るので、最初から認知症の検査や判断が一度でできるよう、認知症専門医を選びました。母はまだそれほど問題行動はありませんでしたが、脳の萎縮が見られ、その場でアルツハイマー型認知症と診断されました。

そんな話を大学時代の友人にしたところ、彼女の父親にもその傾向があるとのこと。どうすれば親を傷つけずに検査に連れて行けるのか、検査費用はどのぐらいかかるのかといったことを相談されました。私の母のようにスムーズに受診できれば良いのですが、認知症の疑いがあっても「自分は病気ではない」となかなか病院を受診してくれない親の場合、家族はどのように連れていけば良いのでしょうか。

 
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