BTSの音楽は、力と勇気をくれる


――チャ・ミンジュさんご自身が一番影響を受けたBTSの曲と理由を教えてください。

チャ:1曲だけを選ぶのは難しいので、3曲選びます。


①「Reflection」
僕にはこの映画がすごく面白い 毎日撮り続けていたい
自分がたまらなく憎い時 僕はトゥクソムに来て 
ただ立っている 見慣れた暗闇と

惰性に流されがちな人生を客観視するこの曲が本当に好きです。人生の主人公は自分であることに気づかせ、癒し、自分と和解する「Reflection」にすごくインスパイアされました。

 


②「Tomorrow」
日が昇る前の夜明けが一番暗いから 遠い未来の君は今を決して忘れないで

多くのファンが「BTSの音楽に力と勇気を得た」と語ります。「Tomorrow」の歌詞は、わたしにとって大きな力を与えてくれました。死ぬまで止められない人生という長い航海にとって、他の船の航路も大きな指針になります。BTSも先の見えない夜明けを経験したという歌詞に、わたしは癒しと希望を抱きました。
 


③「Never Mind」
どんないばらの道でも走れ 世の中にはどうしようもできないことも多い ぶつかりそうなら もっと強く踏んでみろ


「成功できなかった人々が失敗した回数はゼロである」といいます。つまり、チャレンジした経験がないのです。「Never Mind」は、苦痛は成長する過程だと諭し、挑戦する勇気を与えてくれます。
 

日本の音楽も多く聴いてきた。人生で最高のアルバムはDAISHI DANCEの『MELODIES MELODIES』


――『BTSを哲学する』の「おわりに」で日本のたくさんのアーティスト、ミュージシャンに親しんだと書いていましたが、きっかけや思い出を教えてください。

チャ:青春時代に日本のミュージシャンを好きなったのは、まるで夏になるとプールに行くように自然なことでした。なぜなら、当時、音楽が好きな人は皆、韓国の音楽や洋楽とともに日本の音楽を聴いていたからです。 いろいろな食べ物をかわりばんこに食べるように、あらゆるジャンルの音楽を聴きました。日本の音楽が素晴らしかったので、わたしも当然のごとく好きになりました。

初めて接した日本の音楽はX JAPANでした。 X JAPANの壮絶な雰囲気が、暗鬱とした思春期にピッタリ合うBGMだったんです。CHAGE&ASKAも、わたしだけでなく音楽好きならみんな聴いていました。一番愛していたアルバムはTUBEの『Soul Surfin' Crew』で、CDが磨り減るほどくり返し聴きました。 

その後は渋谷系にハマり、FPM、TOWA TEI、FreeTEMPO、STUDIO APARTMENT、m-flo、paris match、PIZZICATO FIVEなど、本当にたくさんの曲を聴き、CDを買うために日本に行くほどでした。代官山のbonjour recordsでCDの試聴をしていると、魂が音楽で満たされる気分になりました。最近はLUCKYTAPESとNo Buses、Cwondo、CAPSULEをよく聴いています。

でも、特別な思い出がある日本のアーティストといえば、DAISHI DANCEです。人生で最高のアルバムを一枚だけ選ぶなら、彼の『MELODIES MELODIES』。わたしにとって、世界中のすべての音楽のなかで、一番のアルバムです。初めて聴いたときのことは覚えていませんが、自分にとってすごく大事なことをする時や論文を書くとき、原稿を書くときには、いつも『MELODIES MELODIES』を聴いていました。このアルバムを流すと、夜明けに草の香りがする森をオープンカーで駆け抜ける気分になります。未来的な雰囲気は、向き合っている仕事に希望を与えてくれます。ヘッドホンで『MELODIES MELODIES』を聴くと、指はまるで演奏するようにキーボードの上を舞い始めます。わたしに勝利を約束してくれるBGM。 伝えられるかどうかはわかりませんが、DAISHI DANCE さんに、人生の成功はいつも彼の音楽とともにあったと、感謝の気持ちを伝えたいです。