BTSの世界観を知るためにおすすめの哲学書3選
――BTSの世界観を知るためにおすすめの哲学書(入門者のために)を教えてください。
チャ:一般的にBTSの世界観はミュージックビデオと「THE NOTES」【訳注:世界観を文章で記したもの】で繋がるBU(BTS Universe)に映し出されていると言われています。 でも、私はBTSの世界観は2つあると思います。それは、BUとBTSのメンバーが生きていく実際の人生です。
ひとつめは、BU(BTS Universe)に投影されるフィクションの世界観です。BUを理解するためには、『WINGS』のコンセプトとなったといわれるヘルマン・ヘッセの『デミアン』や、「Spring Day」のモチーフとなったというアーシュラ・K・ル=グウィンの短編小説『オメラスから歩み去る人々』を読んでみるのがおすすめです。これらの本は、独り立ちしなければならない若者の不安、共に生きる社会における正義とは何か問いかけています。もちろん、答えはみなさんがそれぞれ見つけなければならなりません。BUは、哲学的な質問を音楽と映像、ストーリーでリメイクしてリスナーにたずねているのです。
ふたつめは、BTSメンバーの世界観です。メンバーたちは音楽、SNS、ステージ、コミュニケーションを通じて、夢に向かって挑戦し前進する彼らの人生を見せてくれます。 彼らの世界観は哲学者の引用ではなく、本物の人生そのものです。多くのファンはBTSメンバーの実際の人生をロールモデルにし、勇気を得るのです。
「偉人を求めるのではなく、それぞれの人が既存の枠組みから脱し、自ら新しいものを想像する超人(Uber Mensch)であれ」と言う、フリードリヒ・W. ニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』をおすすめします。この本はやや難解な部分もあるので、読みやすく解説した本を読むのも良いでしょう。
『BTSを哲学する』試し読みをぜひチェック!
▼右にスワイプしてください▼(実際の本は左開きです)
『BTSを哲学する』
(かんき出版)
チャ・ミンジュ:著
桑畑優香:訳
BTS の思想にもっとも近いと考えられるニーチェからヘーゲル、ハイデッガーなどに至るまで、さまざまな哲学者の思想とBTSの音楽、パフォーマンス、ミュージックビデオなどに込められたメッセージをひも解く世界的にも先駆的な本。 また、BTS が他のアイドルグループと一線を画す理由について、成功の公式という観点ではなく、どのような「違い」を追求したのか考察する。
翻訳/桑畑優香
構成/露木桃子
インタビュー前編「BTS「ソロ活動宣言」と最新アルバム『Proof』に込められた“本音”【『BTSを哲学する』著者が解説】」>>
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