「あなたの結婚生活は、幸せですか?」

この質問にまったく躊躇いなく「はい」と答えられる夫婦はどれだけいるでしょう。
おそらく多くの方が即答はできず、言葉を濁したり、あるいは驚くべき夫婦事情を口にすることもあります。

「婚姻制度」が定められたのは、実は120年以上前の明治時代。社会も価値観も変化していく中、多くの夫婦が様々な問題を抱えているのが現実です。

この連載では、現代の男女が抱える問題について取材。結婚生活は山あり谷あり。そのとき人は、どのような選択をするのでしょうか?

「男に捨てられた、可哀想な女と思われたくなかった」孤独なシングルマザーを救った元恋人の提案_img0
 

今回お話を伺ったのは、未婚の母という勇気ある選択をし、シングルマザーとして2歳の女の子を育てる美香さん(仮名)。前編では既婚男性の子どもを妊娠し、「すぐ堕ろせ。産むなら二度と連絡するな」と言われながらも1人で産む決意をした経緯を教えていただきました。

後編では、孤独だったという妊娠期から出産後の変化について語っていただきます。

取材者プロフィール美香さん(仮名)35歳
職業:自営業
家族構成:2歳の娘
 


「1人の妊娠期間は、過去で一番孤独だった」


「1人で産む、という決断自体は、自分の中ではさほど大きなことではありませんでした。自分の中に宿った命を産むのは私にとって自然なことで、大それた覚悟みたいなものは特になかったです」

おそらく一般的に、最もシングルマザーの悩みの種になりやすいのは金銭面だと思いますが、美香さんは学生時代から起業し経済力を培っていたため、そういった面での不安はなかったようです。

けれど、お金がすべてを解決してくれる訳でもありません。

「妊娠中は、過去で一番孤独だったと思います。そもそも妊娠したことはあまり人に言えず、飲みに行くこともできなくなって。妊娠自体は嬉しかったし1人で産むことに抵抗はなかったけど、とはいえ人に堂々と宣言できるほどでもありません。結婚したの? 相手は? とか、そういうことを聞かれる場を自然と避けるようになりました」

美香さんはこの頃にSNSの更新もやめ、それまでの煌びやかな生活からひっそりと遠のいていったそう。

「周りに変に気を使われたくなった......というか、やっぱり、男に捨てられた可哀想な女だって思われるのが嫌だったんです」

自嘲気味に笑いながら、美香さんは続けます。

「お腹が大きくなるにつれて、どうしてこうなっちゃったんだけ? と、ふと思うこともありました」