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公的年金の財政状況が厳しくなっていることから、老後の対策として資産形成に関心を寄せる人が増えています。政府も「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズで、積極的な資産運用を推奨していますが、背景に年金問題があることは間違いないでしょう。

 

しかしながら投資というのは、それなりに知識が必要であり、しかも相応のリスクを伴います。これまで投資に縁がなかった人にとっては、何をどうすればよいのか、まったく分からない分野といってよいかもしれません。

近年はネットで多くの情報を入手できますから、以前に比べると投資に関する情報収集は容易になった一方で、ネットで飛び交っている情報は玉石混交ですから、どの情報が正しいのか分かりません。一部の人は、インフルエンサーと呼ばれる人を頼っており、投資の分野でも多くのインフルエンサーが情報を発信しています。

2カ月ほど前、タレントで投資本のベストセラー作家でもある厚切りジェイソンさんが、ツイッターを消去するという出来事がありました。ジェイソンさんは投資に関するツイートを数多く行なっていましたから、ネット上ではジェイソンさんが推奨してきた米国株が大きく値を下げ、批判が殺到したのでは? との情報が飛び交いました。

この件についてジェイソンさん自身は、定期的にツイッターの消去を行っており、米国株の下落や批判は関係ないと説明していますから、「批判殺到」でツイ消し、というのは単なる憶測だったようです。

しかしながら、投資関連の投稿に対しては、内容に関わらず、かなりの批判が寄せられるのが現実であり、ただ漫然とネットを見ているだけでは、投稿した人が正しいのか、批判している人の意見が正しいのか判断がつきません。ネットを使って投資情報を収集し、自身の資産形成に生かすためには、どれが正しい情報でどれが間違っているのか、フィルターにかけるスキルが必要となってきます。筆者自身、長年にわたって株式投資を行い、それなりの成功を収めてきましたが、以下では筆者の経験も踏まえ、情報の取捨選択についてコツをお伝えしたいと思います。

投資情報を得る際に、絶対に忘れてはいけないのは、物事には必ずトレードオフ(片方を取るともう片方は取れない)の関係が存在するという現実です。投資にあてはめれば、それはリスクとリターンの関係のことを指します。

 
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