数学のテストで計算機!?ありえない光景の先にあったものは?


中学時代の嫌な思い出として、「定期テスト」を挙げる人も多いのではないでしょうか? ちなみに計算が苦手だった筆者は、今でも夢に出るくらい数学のテストに対して恐怖を感じていました。しかし、計算嫌いの人でも数学のテストに恐怖を感じなくてすむ国があることをナージャさんは教えてくれます。それは、カナダの中学校でのこと。彼女は、数学のテストのときに生徒たちがカバンから計算機を取り出す様子を目にして驚愕したそうです。

「みんな気にせず計算機で計算をしながら答えを解答用紙に書いていく。むしろ計算機を持っていないわたしのほうが変だという視線すら感じるくらいだ。信じられなかった。だって、それだと何をもって数学ができるというのですか? 計算ミスが多いわたしだったからこそ、なんだか悔しくすらあった」

「みんながズルをしているのではないか?」という感覚が抜けないナージャさんに対し、先生が発した言葉は意外なものでした。

「言いたいことは分かる。でもこの学年になると、ミスのない計算能力より、このテーマの数学の仕組みをちゃんと理解できているか、その上で問題の解き方を知っているか、そこを見ているんだよ。別に公式だって知らなくていい。ほら、たまに問題の頭に書いてあるだろ? それをどう使えばいいのか、使うと何ができるか、それを分かればいいんだ」

数学のテストで計算機を使用!?6カ国転校生が見た、国ごとに異なる学校の「ふつう」_img3
 


アメリカやイギリスでは、いわゆる「テスト」は存在しない!?


さらにナージャさんは、テストの概念そのものを覆すようなアメリカの小学校での体験を振り返っています。

「みんなそろって、よーいどん! でテストを受けた記憶がない。もちろん問題が出題されてみんなでそれを解くというのはあっても、それは日本でいう『テスト』というより『抜き打ちクイズ』や『練習問題』のような感覚だった。出し方もさりげないし、用紙も構えた感じではなくテスト感をあまり感じない。何度もやり直せたし、『できない』『分からない』という感覚もあまりなかった。みんな最後はできる、正解にたどり着ける。なんだかとても不思議だった」

 

イギリスの学校でも似たような体験をしたナージャさんは、テストらしいテストをやらないことの効果についてこのように考えました。

「苦手な科目でもリラックスして取り組めるのだ。だからいつの間にか苦手意識がちょっとなくなる。それも成長につながるのかもしれない」