ヘア&メイクアップアーティストとして活躍する一方、ヘアサロン兼事務所の「hair and make-up ESPER(エスパー)」の社長でもある赤松さん。
宮森さんから社長を引き継ぐ際は、ビジネススクールに通って一から経営を学んだのだそう。社長業にはどのように向き合っているのでしょうか。

「『エスパー』にはなりたい“かわいい”に協力しますという理念があって、いろんな価値観のある“かわいいの発信基地になる”という目標があります。
それは宮森さんの夢でもありました。志半ばで私が引き継いだから、社長業については『その夢を達成したい』という動機しかないんです。
宮森さんは、コンプレックスをチャームポイントにするという、新しい価値観を創造しました。女の子たちを惹きつけたのは、“メイクを真似したい”ということじゃなくて、読む本とか、思考の背景とか、宮森さんが作りだす世界観の全てが支持されていたんだと思うんです。
だから、私はそれをもう少し噛み砕いて、エスパーらしいライフスタイルを提案しようと思いました」

宮森さんとの思い出の写真が自宅に飾られて。

それからは、月に1回のペースでイベントを開催しました。

「お店を会場にして、ライブ、落語、フリーマーケット、ネイル、占い、移動図書館、ビューティーカレッジ……いろんなイベントをやりましたね。
社員からは『今は美容に集中したほうがいいんじゃないですか』っていう声もあったんだけど、お客様のほうがエスパーのやろうとしていることを理解してくれて。外側からいいねをたくさんくれました」

 

最初はとても苦労しましたが、今は社長業との両立がしっくりきているそう。

「サロンでは、みんなで意見を出し合ったり、いろんなことをやるチームプレーが楽しいんです。スタッフそれぞれのの得意分野と不得意な分野をわかっているから、それを補い合いながら仕事に取り組むのが、文化祭っぽいんですよね。
社長としては、エスパーの理念を終わらせないために、お店もアトリエもいい状態にして、次の人にバトンを渡したい。今の自分がやるべきことは、良い状態でバトンを渡すための全力疾走だと思っています」