些細な言葉に思いがけず救われることがある。それを知っているからこその願い


不思議なもので、親しい誰かに同じことを言われても、あまり効き目がないんですよね。なぜなら、そういうときの私たちが欲しいのは、私たちを好いてくれる誰かによる感情的な意見ではなく、完全に一歩引いたところから、客観的な事象として、自分のことをとらえなおそうとしてくれる視点。未来を、運命を、見通しているかのように見える占いで、自分とは利害関係のない人からもらう示唆は、より冷静に、あるべき道へと導いてくれるような気がして、ついつい頼ってしまうのです。

〈占いには、ほんとうは、「自己責任」はない〉と石井さんは言います。〈誰もあなたを責めない。あなたが悪いのではなく、運が悪いのだ。相性が悪いのだ。責任という枷をこうしていったん、はずすことで、今まで見ることのできなかった自分の現実を、おそるおそる、見ることができるように〉してくれるものなのだと。

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小説や映画などの物語を、シンプルにおもしろがるだけの人もいれば、些細な細部が琴線に触れて、思いがけず救われる人もいます。石井さんの占いも、同じ。物語に、そして誰かの言葉に、救われながら生きてきたのだろう石井さんは、星にまつわる物語を通じて、誰かに何かが届くかもしれないことを信じて、占いを続けているのでしょう。最終的には、個人的な判断で、孤独に生きていかねばならない私たちが、明日への希望を見出すとっかかりになることを願って。

 

……というのは、あくまで、本書を「物語」として読んだ私の、個人的な解釈。本書には、読んだ人の数だけ解釈が生まれ、希望を見出す可能性が、たくさん詰まっています。改めて自分自身を見つめ、出会い直したい人は、占いに懐疑的な人も含めて、一度手にとってみることをおすすめします。

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『星占い的思考』
石井 ゆかり (著)

人生に迷ったとき、
突き抜けるような孤独を抱くとき
その言葉はきっと心に深く届く、優れた文学書のように。

著書売上げ累計420万部!
120万部超のベストセラー「12星座シリーズ」の著者がおくる文学の言葉で「占い」を学びほぐす哲学的エッセイ

牡羊座  闘いの星座  / 始まりの星座
牡牛座  具象の星座  / 不動の星座
双子座  旅の星座 / 嵐の星座、翼の星座
蟹座   模倣の星座 / 記憶の星座
獅子座  表現の星座 / 王者の星座
乙女座  仕事の星座 / オペレーションの星座
天秤座  他者と出会う星座 / 愛の星座
蠍座   再生の星座 / もうひとつの、闘いの星座
射手座  哲学の星座 / 理想の星座
山羊座  力の星座 / 山の星座
水瓶座  友愛の星座 / 平等の星座
魚座   境界越えの星座 / 救いの星座


文/立花もも
構成/坂口彩

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