タイトルの「夫公認彼氏」ってどういうこと? 割り切ったドライな夫婦関係なのかな、という予想はすぐに裏切られました。パートナーへの「好き」という気持ちとうらはらなセックスレスの現実に苦しむ夫婦の13年を描いた『夫公認彼氏ができました セックスレスにとことん向き合った夫婦の13年レポ』が9月7日に発売されました。
主人公・みかは当時35歳、夫・わかぴょん43歳、そして夫公認の彼氏はみかの古くからの友人でした。
「僕は妻を愛しているけれど 妻を抱くことはできない」夫婦がセックスレスであることを打ち明け、自分の代わりにみかの彼氏になってほしい、とこの友人に頼む夫。夫は、デート代と避妊についての条件を伝えます。すると友人も条件を出します。
予想外の言葉に泣き出す夫。つられてもらい泣きするみかと友人。そしてめでたく「夫公認彼氏」の関係が成立。本作は、セックスレスから「夫公認彼氏」の選択に至るまでの夫婦の13年間を綴るストーリーです。
二話はみかの過去に遡ります。親に「変わった子」と言われ続けた彼女は、自分が素直でいることは周りに迷惑をかけること。そう考えるようになりました。彼女が「変わっている」と言われたのはこんな性質にありました。
自分は「社会の箱」の外にいて、大勢の人が送っているような「正しい人生」を歩めないと思っていた彼女。大学をすぐに中退し、大学時代に始めた演劇を続けながら、バイトをかけ持ちする生活を送りながら、「人並に」「まともに」なりたいと願っていました。
結婚したら「社会の箱」に入れるのでは? と、結婚願望が高まった時に出会ったのが、今の夫・わかぴょん。最初はタイプじゃないと思ったけれど、彼のこんな言葉に心惹かれたのでした。
彼と結婚したら、ずっと入ってみたかった「社会の箱」に入れるかもしれない。みかは彼と付き合うことにします。
付き合いはじめてから二人でいる幸せを感じるみか。でも、違和感を抱きはじめます。「ほとんどいちゃいちゃしてこない」「かわいいとかの言葉でちゃんと表現してない」何よりもセックスがほとんどない日々におかしさを感じ、彼女は彼に伝えます。
この時に感じた二人のズレをスルーしたまま、結婚してしまったみか。
結婚後も仲が良く、幸せを感じていた二人。でも、夫は仕事が落ち着いてきてもセックスをさりげなく避けました。新婚なのに茶飲み友達のような関係に焦れるみか。彼女の性欲はとりわけ強いわけでもないのに……。
夫に変わってほしい! と願うみか。しかし同じ頃、夫も妻に「変わってほしい!」と願っていたのでした……。この先、夫婦はどうなってしまうのでしょうか。
セックスレスながらも結婚し、二児の出産を経て育児をする夫婦。二人は「子どもがほしい」「相手のことが好き」という気持ちは共通していました。「性の不一致」で離婚することはできますが、この二人は離婚したいわけではないのです。では、夫婦のズレの根本にあったのは何だったのか。それは、互いの「正しさ」でした。みかは「社会の箱」で「正しく」生きること、わかぴょんは性生活での「男としての正しさ」に囚われていました。
でも、「正しさ」に囚われなくても良かったのです。
みかはわかぴょんの「社会の箱」に入っているところ、わかぴょんはみかの「考え方が自由」なところに惹かれて付き合いはじめました。一致しないポイントは惹かれたポイントと表裏一体。そこを変えてしまったらもう相手の「らしさ」が無くなってしまうんですよね。
夫婦の13年間を読むうち、「夫公認彼氏」は、互いが変わらずに「らしく」生きるための選択肢だったんだな、と納得するのです。
【漫画】『夫公認彼氏ができました セックスレスにとことん向き合った夫婦の13年レポ』第1話を試し読み!
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『夫公認彼氏ができました セックスレスにとことん向き合った夫婦の13年レポ』
ハラユキ (著), みか (原著), わかぴょん (原著)
結婚1年目でセックスレスとなった夫婦が、性のズレに対して真剣に悩んでとことん向き合った末に選んだのは「妻が夫公認の彼氏を作る」ことだった。妻に彼氏がいる状況で夫婦はその後6年の夫婦生活を維持した末に「離婚」に踏み切ったが、その因果関係はいかに――?婚外恋愛を認め合うことにした2人の初めから終わりまでをすべて描く、衝撃の実話コミックエッセイ。
・原作:みか
好奇心旺盛な40代2児の母。既存の枠にとらわれず、女優、ライバー、ライターなど、興味の湧いたものには実際にチャレンジしていく行動派。ヒプノセラピストとしても活動中。
わかぴょん
大蔵省、俳優、マネージャー、印刷会社の営業職を経て再び脱サラ。家族で自然遊びを紹介するYouTubeチャンネルと、妻のみかと共に現在のありのままの夫婦関係を発信するYouTubeチャンネルを運営。
構成/大槻由実子
編集/坂口彩
著者プロフィール
漫画:ハラユキ
コミックエッセイスト。イラストレーター。著書に『週末プチ冒険はじめましたKADOKAWA)、『ほしいのはつかれない家族』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イーストプレス)など。2年間のスペイン滞在をきっかけに、海外でも取材活動をスタート。特に夫婦の取材は多い。