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著名俳優や上場企業トップの性加害事件、スポーツ選手のプライベートなスキャンダルや、同じく企業トップの不倫問題など、仕事以外でのトラブルがキャリアに大きく影響するケースが相次いでいます。これは以前の日本社会ではあまり見られなかった光景ですが、一体、何が起こっているのでしょうか。

個性的な演技で知られる著名俳優が、銀座のクラブでホステスに暴行を加えていたという衝撃的な報道が世間を賑わせていますが、今度は上場企業の会長が、やはり夜のお店でホステスに暴行するという、にわかには信じられない出来事が起こっています。この2件については(立件の有無はともかくとして)公衆の面前で行われた犯罪になり得る行為であり、論外ですが、スポーツ選手のスキャンダルや企業トップの不倫は、あくまでプライベートな問題と捉えることも可能です。

 

これまでの時代であれば、仕事以外でのトラブルが、俳優生命や経営者生命、あるいは選手生命を脅かすというケースはそれほど多くなかったと思います。こうした行為が社会的に大きな問題として捉えられるようになった背景には、時代の変化があると考えられます。

以前の日本社会であれば、仕事ができ、社会的に力のある人は、プライベートな部分でどのような行為を行なっていても、世間からは大目に見てもらえるという安易な風潮が蔓延していました。これは、諸外国においても言えることなのですが、とりわけ日本の場合、加害者よりも告発した被害者が批判されるなど、前近代的なムラ社会の要素が色濃く残っており、あまり表沙汰にならなかったのが現実でしょう。

ところが最近になって時代が変わり、透明性や公平さというものが重要視されるようになってきました。さらに言えば、インターネットなどITインフラの整備が、状況に拍車をかけているのは間違いありません。

以前の社会であれば、スキャンダルを伝えることができるのは、一部のマスメディアに限られており、報じられたとしても一回で終わってしまうケースも少なくありませんでした。ところが今の時代には、ひとたびマスメディアに取り上げられると、ネット上で一気に拡散し、話題が増幅していくこともしばしばですから、情報が出た後に揉み消すことはほぼ不可能となっています。また、誰もがスマホを持っていますから、どこで動画や写真が出てくるか分かりません。

社会のオープン化(あるいは情報化)が進んだことで、ビジネスのあり方が根本的に変化していることも見逃せないポイントでしょう。

 
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