2022年10月1日から後期高齢者医療制度が変更になり、一定以上の所得がある75歳以上の方は医療費の窓口負担が2割になりました。後期高齢者医療とは、75歳以上の高齢者を対象とした医療保険制度のこと。私たちミモレ世代は、窓口で負担する医療費は一般的に3割ですが、75歳以上の患者負担はこれまで原則1割でした。今回相談に訪れた奈美さんは、父親が制度改定によって2割負担の対象になり、若干の不安を抱えているようです。話を聞いてみましょう。

 


10月からの医療費負担増に悩む高齢親


先日、実家の近くに住む姉から電話があり、「10月からお父さんの病院の支払いが増えるみたいなの。今はいいけど、この先何があるか分からないから不安で……」と言われました。よくよく聞くと、一定以上所得がある一部の高齢者は、窓口で支払う医療費負担が1割から2割に引き上げられたとのこと。

お金があると見なされたんだから仕方がないのでは? 思いましたが、76歳になる父は先月脳梗塞で倒れ、今もリハビリのため入院しています。先生には5、6ヶ月のリハビリが必要と言われていて、長引けば当然医療費は高額になります。脳梗塞の場合、保険適用リハビリは最高でも180日とのこと。納得できるまで通うとなると自費になるようです。高額療養費制度を使えばある程度の額は支給されますが、それでも月に75000円ほどかかっていると姉は言います。

しかもそれは、1割負担だった時の金額。2割負担になれば単純に金額が倍になるわけではありませんが、それなりの負担がのしかかります(※高額療養費制度によって医療費自体は最大57600円、そこから高額療養費の対象外である入院時の食事代、差額ベッド代などが追加されるため)。

おまけに母は軽度の認知症を発症しており、この先認知症が進めば老人ホームへの入居を考えざるを得なくなるかもしれません。姉はそのことも含めて心配しているようでした。

友人の貴子にこのことを話したところ、実家でひとり暮らしする貴子のお父さんも、どうやら2割負担になるようです。日本は国民皆保険の仕組みがあり、今回の見直しは私たち現役世代の将来を見据えたもの。親の負担は増えますが、自分や子どもたちの将来を考えると当然とも思えますし、なんとも複雑です。

 
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