再検査になっても慌てない その理由は?
――胸が大きい人と小さい人、乳がんになりやすさに差はありますか? 都市伝説ではなく、プロの意見を伺ってみたいです。
乳がんは、女性ホルモンのエストロゲンにされている期間が長いとリスクが上がるので、胸の大きさは関係ありません。乳がんは乳腺にできるがんのこと。強いていうなら、乳腺の量でしょうか。体が大きいと蚊に刺さる可能性がある面積が大きくなるのと同じで、乳腺の量が多いと可能性のある体積が大きいといえます。
――なるほど。あと気になるのが乳がん検診で引っかかり、再検査になる人が意外に多いこと。再検査で何もなかったと言われたら、ホッとする一方、それはそれで「本当に大丈夫?」と心配になります。一体、何が引っかかる要因だったのでしょうか?
検診と精密検査は、そもそも目的が違います。「何かあるかも」と思ったら引っ掛けるのが検診。なので、検診では白黒はっきりさせるのではなく、グレーでも引っ掛けます。
一方、精密検査はしっかり診て、それが何なのか、それこそ白黒はっきりさせるためのものです。
ちなみに、乳がん検診は世界レベルで標準化されていて、多くの国が同じ基準を持って、同じ検診を行なっています。その中で1〜5段階に分けて、白寄りのグレーでも精密検査に回します。
その時「カテゴリー3」と言われたら、がんの「ステージ3」のことだと思ってショックを受ける方がいますが、検診のカテゴリーとがんのステージは別物なので安心してくださいね。
――再検査で「グレーじゃなく、白でした!」と言われたらうれしいですが、再検査の時に「大丈夫」ではなく「半年後に再検査」といわれることもありますよね。半年間も宙ぶらりんで過ごすのは、不安すぎるのですが。不安で何も手につかなくなりそうです。
もし、医師が半年待てないと考えるような症状であれば、次の治療段階に進んでいるはずなのでその点は安心してください。
半年と言われた場合、その半年でどうなるのか経過を見たくて期間を指定されています。症状に変化があれば別ですが、何もなければ不安に思って3ヵ月で来院しても再検査にあまり意味がないんです。マンモをたくさん受けて、無駄に被曝する必要もないので、その点は医師を信頼して待ってみましょう。
信用できないときはもちろん病院や担当医を変えるのもアリ。「担当医を変えてほしいとは言いにくい」と気にする人も多いですが、相性もあるので医療者側はまったく気にしていません。なので、その際は必ず紹介状を書いてもらってください。紹介状の正式名称は「診療情報提供書」というように、たとえ何カ月か前のものでも、紹介先の医師にしっかり伝えるべき貴重な情報です!
――申し訳なくて、「転院するから紹介状を書いてくれ」なんて口が裂けても言えないと思っていました。が、自分の身を守るためには、紹介状はあった方がいいわけですね。
定期的に乳がん検診を受けていましたが、次回は自分にあった検診への臨み方を模索してみたいと思います。
構成/佐野倫子
前回記事「「脇リンパの腫れは副反応?それとも...」9人に1人が罹患する乳がん、発症ピークは40代」はこちら>>
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