「逃げた」のではなく、「地獄から抜け出した」


いじめられ、その環境から離れた人は、「自分は逃げてしまった」と考えがちですが、そうではありません。「地獄から抜け出せた生還者」だと思ったほうがいいのです。
さらに、自分を責めないためにも、「いじめるほうがおかしい」という判断ができるようになったほうがいいでしょう。

たとえ、どんなに気に入らない相手がいたとしても、「いじめる」なんて行為をするのは、論外。大抵の大人は、スッと距離を空け、関わらないようにします。そのほうが、自分もダメージが少なくて済むからです。
言い換えれば、「人を“いじめられる”人」は、心に闇を抱えていなければ、できるものではありません。
健全な心を持っている人であれば、相手を傷つけたら、心のどこかで「悪いことをしている」という認識をし、自己嫌悪に陥ってしまうことが多いからです。

人気の漫画『ミステリと言う勿れ(2)』(著:田村由美/小学館刊)には、こんなセリフがあります。

「欧米の一部では、いじめてる方を病んでると判断するそうです
いじめなきゃいられないほど病んでる
だから隔離してカウンセリングを受けさせて癒すべきと考える」

相手の心の問題に関しては、他人がどうこうできるものではありません。だから、自分はさっさと「その人のいない世界」で平和に過ごせばいいだけのことなのです。

 


なぜ、人はいじめるのか?


いじめる原因は、人それぞれですが、下記のようなことが考えられます。
・相手のことが気に入らないから
・相手に嫉妬しているから
・相手の存在を恐れているから
・相手に八つ当たりをしたいから
・自分に力があることを示したいから

大概、そういう人の心には、劣等感や無価値観が隠れています。それらを持っている人ほど、「いじめている自分が悪い」という事実を、受け入れません。また、本人も自己コントロールできない状態に陥っていることが多いです。
つまり、徹底的に心をケアしていかないと、いじめをやめない可能性は高いでしょう。

先ほども伝えたように、いじめの中には、相手が嫌がっていることが分からず、本人は「からかっている(遊んでいる)に過ぎない」と思ってしまっているケースもあります。
中には、テレビのお笑い番組を見て、「お笑いのいじり」を真似していると、勘違いしている人が存在します。「お笑いのいじり」と「いじめ」の違い」は何でしょうか。次のページで紹介します。