人間は年齢を重ねるだけで存在が重くなる

金融資産や不動産よりも「無形資産」。坂東眞理子さんが語る、老後を豊かにする投資先_img0
写真:shutterstock

──無形資産を築くうえで重要になるのが「人柄」だと思いますが、そこでアドバイスできることはありますか?

年を取ると礼儀作法、仕事のやり方をはじめ、さまざまなところで自分なりの考えやスタイルが確立されると思いますが、それを他人に押しつけてはいけないと思います。でないと「むつかしい人」として敬遠されてしまいますから。若い頃と違って、「重い存在」にならないよう言動に気をつけなければいけないと思います。

 

──考えを押しつけないだけでは不十分ですか?

はい、それだけでは足りません。私なんてとてもいいかげんで、他人に自分の考えを押しつけたことなんてないから大丈夫だと思っていたんですが、何の気なしに発した言葉でも周囲は重く受け取ってしまうことに気づいたんです。人間って年齢を重ねるだけで存在が重くなるというか、発言を気にする人が周囲に増えていくんですね。ですから、意識していないとどんどん怖い、目障り……どう表現すればいいのかしら? あつかいにくい存在になってしまうんです。

──最近はちょっとでも頑固な態度を示すと、「老害」と片づけられてしまいますね。

自分では全然、老害のつもりはないんですけどね。年齢を重ねると、相手の未熟さ、欠点、不完全さが手に取るようにわかるので、ついアドバイスしたくなるんですが、あまり敏感にならないほうがいいんでしょうね。「未熟でもしょうがない。人は人、自分は自分だから」と割り切ることが大事ではないかと思います。
 

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『女性の覚悟』
著者:坂東眞理子 主婦の友社 1350円(税込)

人生100年時代に突入した今、折り返しである50歳以降をどう生きるか。320万部超のベストセラー『女性の品格』の著者が、女性が後半生を強く、そして楽観的に生きるための心がまえを軽快な筆致でつづります。「覚悟」という言葉から連想されるような厳粛さは皆無。不安で押しつぶされそうな心に気持ち良く「喝」を入れ、元気な状態に戻してくれるでしょう。


取材・文/さくま健太
 

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