インターネットでの情報収集が容易になった今、特定の食品への、相反する意見を目にすることが多くなりました。たとえば、私たちにとって身近な食品である、牛乳やチーズなどの乳製品。ある記事では健康によいとされ、また違う記事を読めば食べるなと書かれていることもありますよね。SNSなどでも異なる意見を見かけ、混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、食品を「よい」「悪い」と判断をする前に知っておきたいことについて、乳製品と心臓の病気との関連性を調べた研究の事例を交え、山田悠史先生に解説いただきました。


教えていただいたのは……

 

山田 悠史
米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビライブニュースαレギュラーコメンテーター、NewsPicksの公式コメンテーター(プロピッカー)、コロナワクチンの正しい知識の普及を行うコロワくんサポーターズの代表。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。最新刊は、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』(講談社刊)。
Twitter:@YujiY0402

 


編集:牛乳が好きなのですが、乳製品に対するネガティブな内容を、SNSやウェブ記事などで見かけると、つい気にしてしまいます。どう判断したらよいのでしょうか?

山田:なるほど。では、ここで試しに、私から牛乳のよい面・悪い面をお伝えしたいと思います。

まず、よい面です。牛乳が体によい、と言われる背景には、「骨の健康」という側面が一番にあると思います。牛乳には、カルシウムとリンが豊富に含まれ、アメリカの牛乳にはさらにビタミンDも添加されています。いずれも骨を丈夫にしてくれる栄養素で、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」という病気の予防に役立つ可能性があります。牛乳がカルシウムとリンの大切な摂取源だということは、乳製品のよさを語る上で大切な側面ですね。

次に、悪い面です。牛乳には、乳脂肪のうち、特に飽和脂肪酸と呼ばれる脂肪が多く含まれていることが知られています。この飽和脂肪酸を摂取すると、体内のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増加し、動脈硬化に繋がるのではないか、といわれています。

さて、この説明を聞いてどう思われましたか?