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10個パックなど、まとめ売りが行われていた商品について、あえてバラ売りする事業者が増えているそうです。必要なモノを必要な分だけ買えるというのは、全体のロスを減らすことにつながりますし、お財布にも優しくなりますから、消費者にとってはメリットが大きいでしょう。

 

物価上昇で家計は苦しくなっていますから、今後、こうした動きは広がっていくと予想される一方、商品というのは個別に購入すると割高になる傾向があります。まとめ買いをするのか、バラで買うのかについては、うまくバランスを取ることが重要です。

スーパーや青果店に行くと、通常はバナナが1房単位で売られていることが多いのですが、最近では1本ずつバラで売ってくれるお店も出てきています。コーヒーチェーンなど一部の飲食店では、これまでもバナナを1本ずつ買うことができましたが、大量の商品を陳列する小売店でのバラ売りは新しい動きと言ってよいかもしれません。また、一部のコンビニでは洗剤やシャンプーなどについても、量り売りを行っているそうです。

こうした新しい業態が出てきたことの背景として、物価高による家計の可処分所得減少があることは間違いありません。

これまでの時代であれば、まとめ買いで多少、商品が余ることがあっても、消費者はあまり気にしませんでした。しかし、ここまで電気代やガス代、あるいは食費が上がってしまうと、1円でも節約したいという気持ちが大きくなってきます。必要な分だけを買いたいという人は確実に増えていますから、消費者のニーズに合わせた売り方と考えられます。

生活に密着した商品だけでなく、百貨店では各地の銘菓をバラ売りするコーナーを設けるところもあります。

銘菓は種類にもよりますが、それなりの値段になるケースも少なくありません。加えて、これまで食べたことがないお菓子の場合、1箱丸ごと買うのは抵抗があるという消費者も多いことでしょう。あえて商品をバラ売りにすることで多くの人に親しんでもらい、最終的には商品全体の販売拡大につなげたいとの狙いがあると思われます。

特に百貨店の場合、各種のイベントは大事な集客ツールとなっています(百貨店業界では『催事』と呼びます)。理由はともあれ、一度、店舗に来てもらえれば、それ以外のフロアであっても購買に繋がる可能性が高くなりますから、そのイベント自体では大きな利益を上げられなくても、お店全体の売上げを左右する可能性もあるのです。

 
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