親友を密かに裏切ったことがあるすべての人へ
3位 『春のこわいもの』川上未映子

この小説がすごかった!2022年ベストブック5選【真夜中の読書会・バタやんおすすめ本】_img3
一穂ミチさんが金の箔押しなら、こちらは銀の箔押し。グレーの地色に銀色の文字が読みにくかろうと読めなかろうとこの佇まいで買うでしょ、という自信を感じさせます。心がざわつく6の短編が収められている『春のこわいもの』川上未映子

かつて親密な関係だった人のことを密かに裏切ってた、後ろめたい思いがある人って、かなり多いのではないか。っていうか、誰しも何かスネに傷があるのではと思うのです。昔の友達から急に電話がかかってきて、過去の自分がやってしまったことにリベンジされるお話「娘について」が私は一番こわかった。

自分がやられたほうなら負の気持ちを消化する手段もあるけど、やったほうの場合は難しいよね……と胃のあたりがヒューっとなったのでした。