編集者の原田純さんが、自身の体験談と共に様々な“膣ケア”を紹介し、10万部のベストセラーとなった『ちつのトリセツ 劣化はとまる』(径書房)。女性器のことは「口にしてはいけない」「はしたない」――そんな思い込みを覆す内容で、2017年の発売以来、女性の健康を守るためのセルフケアバイブルとなっています。

そんなベストセラーを元にしたコミック作品が、今回ご紹介する『マンガ ちつのトリセツ 劣化はとまる』。子育てを終えた夫婦のセックスにまつわるストーリーから、自然と膣ケアの知識が身につく本書は、「膣ケアはハードルが高い!」と考える人でも受け入れやすいはず。そこで今回は、自分の“膣”に興味が湧いてくること請け合いの本書から、特別に一部をご紹介します。

漫画の主人公は、47歳の乃木小巻。ひとり娘が結婚して家を出たことで、夫・宗介とふたりきりの生活に戻ったばかり。ある晩、居酒屋で食事しながら「結婚から23年」という月日の重みに思いを馳せますが、夫婦仲はいたって良好なようです。

 

楽しく飲んで帰ったその夜。娘もいなくなり気を遣う必要がなくなったためか、宗介から5年ぶりにセックスの誘いが。「どうするんだっけ」と心の中で戸惑ったのも束の間、小巻の腰を突如、激しい痛みが襲います。

 

結局、ひさしぶりのはずだった夜の営みはそのまま中断。翌日、小巻は宗介からの忠言に従って、病院を受診することにします。

 

生理不順、手足の冷え、便秘など、症状を問診票に記入して紹介されたのは婦人科でした。検査の結果は……更年期。引っ越しの手伝いで腰を痛めただけ、と思っていた小巻は大ショックを受けてしまいます。

後日、整体も行っている助産院に飛び込むと、そこで出会った竜田川もみじ院長から、さらに激しいボディブローを喰らうことになるのです……。

 

「しばらくセックスしてないでしょう?」(図星)からの〜

 

「週何回マスターベーションなさってます?」で小巻は撃沈。でも、竜田川院長はセクハラやいじわるで言っているわけではありません。なぜなら、院長曰く「年齢と共に“性器”も老化する器官だから」。セックスやマスターベーションなどで使わないでいると、膣が乾燥したり、萎縮したりして、腰痛など不調の原因になることもあるといいます。

 

そこで院長が提案したのが、膣のオイルマッサージ。別名「会陰マッサージ」とも呼ぶもので、膣に潤いを与えて柔らかくするのだそう。その夜、今まで存在すら忘れかけていたアソコを鏡で見てみると……そこに映っていたのは小巻が予想だにしなかったアソコの姿でした。

 

「老化を止めることはできないけれど、お手入れで遅らせることはできます」。そんな竜田川院長の言葉を思い出し、小巻は夫の宗介がいないときに膣ケアを始めることにします。

 


オイルマッサージに慣れてきたところで、竜田川院長のアドバイスもあり、「骨盤底筋体操」もスタート。ちなみに、骨盤底筋体操は以下の要領で行うといいそうですよ! 

<骨盤底筋体操のコツ>
① 鼻からゆっくり、お腹いっぱい空気を吸う。
② 口から息を吐いて、お腹の空気をすべてしぼり出す。
③ そのまま5秒、息を止める。
④ 1日に10回ぐらい行う。立っていても座っていても寝ながらでもOK。

自分の腰痛改善のため、そして、またいつか夫の宗介に誘われたとき応じられるよう、パートに精を出しつつ膣ケアにも邁進する小巻ですが、ある日、ひょんなことから宗介の“嘘”が発覚!? 

モヤモヤの晴れない小巻は髪の色を変え、自宅で「24回目の結婚記念日」を迎えます。そこで宗介から語られた事実、そして、子育てを終えたふたりの“これからのパートナーシップ”とは……?

 

夫婦仲は決して悪くない、むしろ良好。でも、しばらくセックスレス。そんな47歳の小巻を通して、年齢に伴うカラダや膣の変化、スモールステップから始める膣ケアを学べる本作。

年を重ねたらセックスとどう向き合っていくのか。パートナーとどんなセカンドステージを歩んでいくのか……。子育てを終えた小巻と宗介を見守る中で「年を重ねて戸惑っているのは自分だけじゃない」、そんな励ましをもらえるはずです。

 

5年ぶりにいざ! のはずが……47歳、小巻が膣ケアに出会うまで
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漫画・原作:かずはしともさん
講談社の少女漫画雑誌でデビュー。以後フリーとなり、ぶんか社、秋田書店、白泉社等で執筆。ジャンルを問わず女性向けから少年誌、ホラー、4コマ、ルポ漫画、似顔絵等、業界のすきまをぬって細く長く生息。代表作は『オズの魔法使い』(ぶんか社)『かずはし童話』(白泉社)。2017年に処女作短編小説がNoveljam藤井太洋賞を受賞。好きなビールはアサヒスーパードライ、苦手な食べ物はさらしくじら、特技は3秒入眠。

監修:原田純(はらだ・じゅん)さん
1954年、東京生まれ。編集者。15歳で和光学園高校中退。1980年、長女出産。1989年、径書房に入社。現在、径書房代表取締役。著書に『ねじれた家 帰りたくない家』(講談社)、岸田秀氏との対談『親の毒 親の呪縛』(大和書房)『ちつのトリセツ 劣化は止まる』『人生最高のセックスは60歳からやってくる:ちつのトリセツ恋愛実践編』(径書房)がある。YouTubeチャンネルは「【ちつのトリセツ】原田純」。

監修:たつのゆりこさん
看護師、助産師、鍼灸師。大学病院や助産院などに勤務後、アロマテラピーと鍼灸を統合した治療室を開設。その後「Be born治療室」を開設し、ベビーマッサージの普及活動など、母子支援に従事。世田谷で開設していた「Be born助産院・産後養生院」を2021年、八ヶ岳に移転。現在は八ヶ岳を中心に、女性たちの心身のケアにあたる。オンライン講座も開設。『ちつのトリセツ 劣化はとまる』を監修。

『マンガ ちつのトリセツ 劣化はとまる』
漫画・原作:かずはしとも 監修:原田純・たつのゆりこ 径書房 1320円(税込)

10万部のベストセラーとなった原田純さんの「膣ケア」本を元に、漫画家・かずはしともさんが新しいストーリーで描くコミック版。膣の衰えはセックスだけでなく、腰痛や便秘など、様々な不調につながることも。47歳、子育てが終わった主人公「小巻」を通して、女性のセルフケアについての基礎知識が学べます。原田純さんの膣ケアコラムも必読!



構成/金澤英恵