人生で二度の結婚と離婚を経験。さらに二度目の結婚では、20年近くセックスのない生活を送っていたという編集者の原田純さん。恋もセックスも、もう自分にはいらないもの。長らくそう思っていた原田さんが再び人生を謳歌したいと思ったのは、60歳になってからだったといいます。

原田純さんの著書『人生最高のセックスは60歳からやってくる:ちつのトリセツ恋愛実践編』の中では、その心境の変化や、実際に恋人ができ、64歳で27年ぶりのセックスに臨んだ奮闘記を赤裸々に告白。年齢を足かせにせず、恋とセックスに真摯に、そして楽しく向き合う原田さんの本書から、特別に一部抜粋してご紹介します。

 

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60歳、自分の腟と初めて向き合う

写真:Shutterstock


『人生最高のセックスは60歳からやってくる:ちつのトリセツ恋愛実践編』
まえがきより

ステキな人がいたら、もう一度ぐらい恋愛がしたい。セックスだってしてみたい。
そう思ったのは、60歳になったばかりのころでした。

それまでは、「恋愛なんて、もうこりごり。セックスも、もうしなくていい。私は一人で楽しく生きていく」と決め、それなりに人生を謳歌していたのです。

それなのに、自分の体が間違いなく老化していることを知り、「このままだと、本当に、恋もセックスも二度とできないかもしれない」と思ったとたん、私はふいに「それはいやだ」と思ってしまったのです。

「いい歳をして、なにを言っているの? いい加減にしなさいよ!」
自分を叱ってみたものの、効き目なし。60歳になって体は古びていたものの、子どものころからのきかん気は、まったく直っていませんでした。

「ふうん、それが本音なのか……。だけどそれなら、まずは体をメンテナンスしなければね」
冒頭からなんですが、そのとき、私の腟は干からびてカチンコチン。自分の指すら入らない状態でした。セックスなんて、したいと思ってもできない体になっていたのです。
 

老いを受け入れず、往生際の悪さを発揮


「これが老いか……」と、さすがにがっかりしましたが、あきらめようとは微塵も思いませんでした。助産師のたつのゆりこさんに教わった腟ケアをしたら、腟が復活すると信じていたわけではありません。それでも私は、子どものころから見る前に飛んでしまう性格。たいていは、そのままドスンと落ちるだけなのですが、それでも挑戦することに躊躇はありませんでした。

このとき、近々セックスをするかもしれないというお相手がいたら、さすがに焦ったと思いますが、そんなお相手は影すらなし。だから、自分の老いを受け入れることができない往生際の悪さを発揮しただけなのですが、それでも、やると決めたらとことんやってしまうのも、これまた私の悪癖のひとつ。

すぐに腟ケアを開始しました。ずぼらな私がケアを続けられたのは、効果がすぐに表れたからです。カチンコチンがみるみる緩んでいきました。腟ケアと骨盤底筋体操を続けていたら、驚いたことに、その効果は腟だけでなく全身に及び、明らかに体調が良くなってきたのです。