拓郎がいじめられていた同級生を見て見ぬふりしてしまったという話を聞いて「逃げるな!」と焚きつけたのも村井でした。強行して事件のネタを報道した結果、関連会社へ左遷になりますが、どこか表情は晴れやかでしたし、口でも「そんなことはどうでもいいんだよ」と言っています。
はじめは「なんだこのクソ上司」と思ったのに、かっこよくてしびれるし、かわいくすら見えてきます。部下たちを引き連れた飲み会でのカラオケタイムも、初回の「みんな付き合わないで帰ればいいのに」と思っていたところから、今は一緒に手拍子をしたい気持ち。深い発言も多くて、修羅場をくぐってきた感があります。最終回前の9話での斎藤への忠告シーンは、ふざけて見せたあと一瞬で目つきがかわるのがかっこよすぎたし、ラストシーンでの彼の行動には、涙すら出てきました。
最悪の第一印象から、こんなに評価が上がり続けていく人もなかなかいません。むしろ途中から、誰を信用していいかわからなくなってくる中で、村井だけは信頼して観ていた自分がいます。
ほんの少し、正しさや熱さを取り戻してみたくなる作品
村井をかっこいいなと思うのは、自分が村井みたいには生きられないからでもあると思います。この作品のような、事件レベルのスケールではないけれど、「おかしいと思うけど、言ったらどうなるかわからなくて言えない」みたいな経験が、ないとは言えません。拓郎みたいに真っ直ぐに突き進むことも、もうできないかもしれません。
でも、真実を知って、大きなものに突き動かされて、行動せずにはいられなかった登場人物たちを見て、熱い気持ちになりました。観る人の中の良心なのか正義感なのか情熱なのか、そういった感情をくすぐる作品だと思います。
9話に出てきた、「自分の罪深さを忘れて生きていくなんてできない」という言葉。目を向けるのは苦しいことかもしれないけど、それが「自分の生きたい自分でいる」ということなのかもしれません。そういう熱い気持ち、こうありたいと思う生き方を大事にしたいなと、思いました。
最終回、できたら真実が明らかになり、冤罪が晴れてほしい。でもどうなっても、あるべき生きざまを見せてくれた彼らとこの作品に感謝したいです。
Comment