そして、舞にかける言葉もいいんですよね。
パイロットになる夢を諦めて家業のネジ工場を継ごうとした時、周囲はこぞって止めました。それでも、貴司くんだけは、「なら、そないしたらええ。誰かのために頑張ってる時の舞ちゃんは、幸せそうやし」と微笑んであげた。もし、あの時に彼の言葉がなかったら、IWAKURAも潰れてしまっていたかもしれない。
また、料理のレパートリーが少ないと嘆く舞に、「無理せんでええんちゃう? 舞ちゃん、仕事頑張ってんねんから」とほかほかのナポリタンを差し出した時は、“一家に一人貴司くん”やわ〜と思いました。
「君が行く 新たな道を照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」
貴司くんが舞のために紡いだ短歌からは、彼女への底知れない愛を感じるんですよね。それが幼なじみとしての愛なのか、男女の愛なのかは分からない。「デラシネ」に来た小学生に、「2人、付き合ってるん?」と聞かれて、笑いながら否定したということは、今はお互いに意識をしているわけではないのかもしれない。
それでも、気づいたら、恋。いつの間にか、結婚……になっても、しっくりくるのが舞と貴司くん。学生時代の恋愛相手としてはなさそうだれど、“家族”になるのなら、ありえる気がしてしまうのです。
2人が纏う柔らかな空気感も、どこか似ていて。恋愛とか、友情とか、家族愛とか、いろいろな感情が混ざり合っている感じ。魂レベルで通じ合っている感じがする。「絶対に結婚してくれ!」とまでは思わないけれど、舞が貴司くん以外の人と結婚する姿は想像できないんですよね。
もし、この2人が結婚したとしたら、舞は今までどおりIWAKURAの営業としてバリバリ働くんだろうなぁ。そして、貴司くんは「デラシネ」で子どもたちの“憩いの場”を提供しながら、舞の帰りを待つ。大好きな短歌をじっくりと、極めながら。そんな生活が、容易に想像できる。『舞いあがれ!』が、そんなラストを迎えたとしたら、それこそ“令和の朝ドラ”っぽいなぁと思うのです。
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