遂にドラマ『美しい彼』のシーズン2が始まります! 2021年末に放送されて、まさに“大成功”を治めた一作。時代、性別を超えた普遍の恋心、青春の葛藤をあまりにも美しく描き、多くの熱狂的なファンを生み出しました。
今、日本のメディアでは“BLドラマ”という言葉がわざわざ使われなくなっているほど、男性同士の恋愛を描いたドラマは当たり前の存在になってきています。そしてその定着の完成形とも言えるのが、この『美しい彼』ではないかと感じています。
社会現象となった『おっさんずラブ』から『美しい彼』へ――。その流れの背景にある、日本社会の多様性の進化について考えてみたいと思います。
男女関係なく感情移入できる秀作ドラマ
ドラマ『美しい彼』は、本屋大賞作家・凪良ゆうの同名小説を、萩原利久とFANTASTICS from EXILE TRIBEの八木勇征によって実写化したものです。
高校のヒエラルキートップにいる清居(八木勇征)をキングと崇め、恋とも崇拝ともつかぬ気持ちで追いかけ続ける平良(萩原利久)。初めは平良をパシリとして使い、「キモい」と見下していた清居ですが、あまりにも真っすぐな瞳で自分を見てくる平良のことが、いつしか頭から離れられなくなります。しかし、高校を卒業したのを機に関係が途絶えてしまった2人。平良は大学に入り、新しい友達もでき、穏やかな生活を送っていました。が、ある日偶然清居に再会したことで全てが崩壊。再び苦しい恋心にもがきますが、一方で清居も、平良に対してどうしようもないもどかしさを覚えていて……。
とまあ、男性同士という設定を取り除いてしまえばこの作品、いわゆるザ・定番のラブストーリーでもあります。平良視点で見れば、憧れの存在として追いかけていたのが、やがて相手も自分のことを好きになってくれて……となり、反対に清居視点で見れば、追いかけられていたはずが、気付けば自分が相手を追いかけるようになっていて……と。どちらも、男女関係なく数えきれないほどの人が経験してきた心情でしょう。それだけに、この『美しい彼』をとくにBLと意識して見なかった人も、多かったのではないかと思います。
実際、ドラマ内では男性同士であることを特別視した描写はほとんどありません。平良の清居に盲目的に憧れる感情も、好きと言いながらも鈍感な平良への清居のイラつきも、嫉妬も、すれ違いも、そして独りよがりな諦めも、全てどちらが男性でも女性でも当てはまるものばかり。ああ、私はいつも最初は追いかけられるのに、だんだん自分のほうが好きになっていって、清居の気持ちが痛いほど分かるわぁ……とか、たしかに私は追いかけることが好きで、相手がどう思っているかは正直どっちでもいいのよねぇ……とか、それぞれがそれぞれの感情を移入をしながら見たのではないでしょうか。
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