政府が注力する方針を発表したことで、大きな注目が集まっている「リスキリング(学び直し)」。今回、そんなリスキリングが実際の就職に結びつくプログラム『Pathfinder(パスファインダー)』の就職イベントを取材しました。

このプログラムは事務職や専業主婦など様々なバックグランドを持つ方が、多くの企業で使われているシステムを軸とした知識や技術を身につけることで、IT業界への就職を目指せるというもの。

イベントはどのような想いで行われ、参加者はどのように感じたのでしょうか。詳細をレポートします。
 

未経験でもIT業界を目指せるプログラム『Pathfinder』とは?


2023年2月2日に秋葉原のアキバスクエアで行われた、今回の就職イベント。午前と午後の2回にわたって行われ、各回約60名が参加しました。参加者は全員が『Pathfinder』での学びを修了した方々です。

 

『Pathfinder』は、株式会社セールスフォース・ジャパンとデロイト トーマツ コンサルティング合同会社が手がける人材育成プログラム。セールスフォース・ジャパンは、多くの企業が導入している「Salesforce(セールスフォース)」というCRM(顧客関係管理)ツールを開発・提供しており、プログラムの中ではそのツールを軸に知識や技術、ビジネススキルを学びます。

Salesforceは企業のマーケティングや営業、コールセンターなど、さまざまな場面で使われています。企業の目的に合わせて、自由度高くシステムをカスタマイズできるのが強みのひとつ。そういったシステムのカスタマイズを行う技術や、昨今ニーズの高まっている顧客情報の管理・活用に関する知識を、およそ5ヶ月間にわたってオンラインで学ぶのです。プログラムはフェーズ1〜3に分けられ、認定資格の取得や実践演習も含んでいます。

そうして、フェーズ2までを無事に修了できた方は、希望があればフェーズ3にあたる就職イベントに参加することができます。会場には全部で35社のブースが設けられ、参加者が興味のある企業のもとへ話を聞きに行く形で実施されました。

 

女性が新たな人生を描くきっかけを。プログラムに込められた想い


イベントの開催に先立ち、まずは、今回のイベント運営に携わるWaris担当者より挨拶が。「プログラム受講者と企業との良い出会いにつなげてほしい」と願いのこもった言葉が伝えられると、早速、各ブースに分かれて1回あたり10分程度のカジュアル面談が行われました。

面談がスタートした各ブースは、とても和やかな雰囲気。参加者と企業の担当者が、ときに笑顔を見せながら、和気あいあいと話をしている様子が見られます。

 

ちなみに、『Pathfinder』はIT関係の学び直しプログラムですが、参加者は男性よりも女性が多く、全体の7割が女性だそう。しかも、20代よりも30~40代の参加者が多くなっているといいます。事務系の仕事についている方が多いものの、専業主婦やパート・アルバイト、派遣社員、フリーランスなど多様な背景を持つ方が参加していました。
 

 

このような仕事や人生を新たに描き直せるプログラムをスタートさせた理由について、セールスフォース・ジャパンでプログラムの企画運営に携わる詫間智之さんはこのように教えてくださいました。

「弊社はアメリカに本社を置く企業です。このプログラムは、もともとは米国の退役軍人向けに、次のキャリアを描いてもらえるよう設計されたものでした。日本では女性の方に関心を持っていただくことが多いです。結婚や出産で退職した後、次の仕事や生き方を描きづらくなってしまう社会的背景があるからだと考えられます。

私たちの製品は『ノーコード・ローコード』といって、クリック操作で簡単にカスタマイズができるため、IT業界未経験の方でも学びやすい。IT業界は人手不足が叫ばれて久しいですが、キャリアを開始するハードルを下げることで、人材の裾野を広げていきたいと考えています」