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電気代が値上がりしていることから、多くの家庭が支出増加に苦しんでいます。オール電化にしている世帯では、びっくりするような金額になっているかもしれません。世の中では多くの節電術が紹介されていますが、情報が多すぎて、どうすればよいか分からないという人も多いと思います。今回は節電についての基本的な事柄を整理したいと思います。

 

電気料金は基本的にエネルギー価格に連動して上下する仕組みです(規制量金と自由量金では動きに違いが生じますが、基本的な流れは同じです)。ウクライナ侵攻以後、急激にエネルギー価格が上がったことから電気代も上昇していますが、足元では原油価格が少し落ち着いてきました。為替も一時期に比べれば円安が抑制されていますから、このままの水準で原油価格や為替が推移すれば、これ以上の値上がりは回避できるかもしれません。しかしながら、全世界的な資源価格の高騰は当分続きそうですから、電気代が劇的に安くなる可能性は低いと考えた方が良いでしょう。

そうなると、やはり節電が重要ということになりますが、情報が錯綜しており、どうすればお得になるのかよく分からないという人も多いのではないかと思います。

節電の全体像を理解するには、まずは基準を統一して考えることが大事です。

同じ熱を出す暖房機器と言っても、エアコンと電気ストーブ(あるいはセラミックファンヒーターやこたつなど)では熱を出す仕組みが全く異なります。エアコンはヒートポンプと呼ばれる技術を使っており、それ自身が発熱するのではなく、屋外にある熱を集め、室内に移動させるという方法で部屋を温めます。これに対して電気ストーブは、物体に電気を流し、その抵抗で直接発熱させる方法が用いられています。

ヒートポンプはもともと存在している熱を集めてくるだけなので圧倒的に効率がよく、同じ量の電気を投入した場合で比較すると、エアコンは3倍以上の熱量を得ることができます。したがって単純計算で考えれば、エアコンの方が圧倒的にお得ということになるでしょう。

しかしながらエアコンには、設置場所という問題があります。

エアコンはたいていの場合、高い位置に設置されていますが、これは夏に冷房することをに主眼を置いているからです。冬の場合、本来であれば下に設置した方が圧倒的に暖かいのですが、わざわざ2台設置する家は稀ですから、冬場は不利な条件でエアコンを運転しなければなりません。

このため冬にエアコンを運転すると頭だけが暑く、足元が冷えるという状況になりがちです。ここで、足元を暖めようとホットカーペットを敷いたり、部分的に電気ストーブなどを使うと、エアコンに加えて局所暖房も使うことになりさらに電気代がかかるという悪循環に陥ってしまいます。

 
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