今年のアカデミー賞授賞式は、エブエブこと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が7冠と賞を総ナメ。特に主演女優賞を受賞したミシェル・ヨーは、95年のアカデミー賞史上2人目、2002年のハル・ベリー以来となる非白人系俳優の受賞であり、アジア人としては初の快挙となります。しかも60歳という、“女優としては仕事が来なくなる”とされる年齢でのこの偉業達成!

主演女優賞を受賞し、スピーチで涙を見せたミシェル・ヨー。写真:ロイター/アフロ

しかし偉業を成し遂げたのは、ミシェルだけではありません。今回のオスカーでは、敗者復活戦とも言える、マイノリティや熟年層の受賞が目立ちました。

助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァン。写真:ロイター/アフロ

同作で30年ぶりに俳優復帰したキー・ホイ・クァンも、初ノミネートでいきなりの助演男優賞獲得。そして歌曲賞はボリウッド作品『RRR』の、“高速ダンス”が話題になった『ナートゥ・ナートゥ』で、こちらはインド映画史上初の受賞。さらに『ザ・ホエール』で役作りのため大幅に体重を増量して挑んだブレンダン・フレイザーは、20年ぶりの主演となる今作でオスカーに初ノミネート、みごと主演男優賞を獲得しました。

 


キーはスティーブン・スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』や『グーニーズ』で一躍人気子役になったものの、ハリウッドではアジア系の大人の男性の役がなく、一旦は俳優業を休止して大学に進学。その後は裏方に回っていたのですが俳優の夢は捨てられず、『グーニーズ』の共演者で現在は弁護士のジェフ・B・コーエンが、今回のエブエブ出演の交渉をし見事役を勝ち取ったそう。

作品賞のプレゼンテーターを務めたのは、『インディ・ジョーンズ』でキーと共演したハリソン・フォード。受賞タイトルが読み上げられた瞬間、キーはいち早く壇上に駆け上がり、ハリソンと喜びを分かち合った。写真:ロイター/アフロ

 
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