米倉涼子さんに最新出演ドラマについてインタビューしました。

 

Prime Videoで世界配信されるオリジナルドラマ 、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で主人公の伊沢那美を演じました。
佐々涼子さんのノンフィクションを原作に、異国の地で亡くなった人を祖国に送り届けるために奔走するプロフェッショナルたちの現場を描いた作品です。

 

完成したドラマを観た感想を率直に話すと、すごく面白かった! 西田敏行さんにも「私のお芝居はともかく、いい作品だから観てね」と伝えました。普段、自分の出演作についてこんなふうに言うことはあまりないのですが、それくらい心に響いた作品です。

米倉涼子「心から観てほしい、と思った自分の出演作」スライダー1_1
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口が悪く、負けん気が人一倍強い「エンジェルハース」という会社の社長を演じるため、今までで一番短く髪を切りました。

でも“面白かった”という言葉で語っていい作品なのだろうか、という思いもあります。
なぜならご遺体と向き合い、きれいにしてご遺族の方に送り届ける仕事の大変さをしっかりと描いた作品だから。
この題材でドラマを作るからには避けて通れないところをちゃんと描いているからこそ、“死”についての描写がリバウンドして、“生きる”というテーマがみなさんに伝わると信じています。
生と死が行き来して、それぞれの生き様が描かれている脚本を読んだときにはずっと泣いて、でも笑えるところもあって……、すごくいい脚本だと思いました。

 

私が演じる那美のモデルになった木村利惠さんは、ものすごく元気な方です。
ドラマチックな人で、過剰なぐらいご遺族の方たちのお世話をしたいという思いを持っている人。
そして周りの人が支えてあげたいと思ってしまう人でもあります。
羽田国際空港にある小さいオフィスから世界中につながる大きなネットワークと、それが生み出すたくさんの物語があって、ひとりの女性が会社を立ち上げてここまで行き着いたのもすごいことだな、と思いますね。

彼女とはクランクインの前にお会いして、色んなお話を伺いました。撮影が始まってからもオフィスがある羽田空港での撮影も多かったので、現場でコミュニケーションを取らせて頂きました。
実際にご遺体の身支度を整えてからご遺族のもとに送り届ける霊柩車もお借りして劇中で使わせてもらっています。
家族のごはんは絶対に冷凍のものは使わずに、朝、昼、晩ちゃんと用意してから出かけると仰っていて、現場にスープやハンバーグを作って持ってきて下さったことも。
すごい人ですよね。出来た人だからこそ、きっと人のアラも見えてしまうと思うし、誰よりも先に気が利くと思うんです。
そして私と同じで、じっとしていられない人だと思います(笑)。

実際の利惠さんは髪の毛はロングで、スカジャンにハードな印象のアクセサリーをした、情に厚いチャキチャキの姉御肌。
そんな彼女に近づくために私ができることはなんだろうと考えて、潔く髪を切ってショートにしました。
あとは姉御肌に見える動き方を考えたのですが、一話でガニ股歩きをするシーンはやりすぎだったかもしれません(笑)。
撮影初日だったから気合いが入っていたのですが、『シカゴ』の本番で、もう逃げられない、走って出ていかなきゃ! と思ったときのことを思い出しました。

 

現場では『ドクターX』でずっとご一緒している遠藤憲一さんがそばにいてくれました。遠藤さんは演出の堀切園(健太郎)監督ともお仕事をした経験があったから、「信頼できるから、大丈夫だよ」と言葉をかけてくださって。
色々なことが初めての現場だったので、遠藤さんの存在がありがたかったです。遺体の修復や死化粧をするシーンがありますが、『ドクターX』での経験が生かされることはなく……。大門未知子が手術を担当するのはほとんどがお腹まわりで顔は触らないので、今回の撮影のためにワックスで顔を修復する練習をしたり、マネキンにメイクの練習をしました。

2週間のフィリピンロケでは、そこに行ったからこその映像も撮れました。1話目から抗争に巻き込まれて死んでいく青年の姿が描かれるので、辛くなってしまう人もいるかもしれません。
でもその先には家族の絆や心を動かす物語が待っているので、ぜひ最後まで観続けてほしいと思います。

国際霊柩送還士の仕事はご遺体を搬送し修復して、ご遺族の元にお届けするだけではなく、ご遺族の深い悲しみをケアすることでもあります。時には心がすり減っていくような、ものすごく大変な仕事です。世界中に人知れずこういう仕事をしている方がいらっしゃるので、ぜひ色々な国の方に観てほしいと思っています。

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<ドラマ紹介>
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』

 

国境を越えて遺体を遺族の元へ送り届ける、国際霊柩送還士の姿を描いたドラマ。海外で亡くなられた日本人や、日本で亡くなられた外国人の遺体を母国へ搬送する国際霊柩送還士・伊沢那美(エンジェルハース社社長)のモデルは、
ドラマの原作『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』の著者でもある佐々涼子。『コンフィデンスマン JP』シリーズや大河ドラマ『どうする家康』の脚本家・古沢良太と、『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズの香坂隆史が脚本化した。3月17日より、Amazonプライムビデオで世界配信スタート。

配信日:Prime Videoにて3月17日(金)より独占配信
キャスト:米倉涼子 松本穂香 
     城田優 矢本悠馬 野呂佳代 織山尚大(少年忍者/ジャニーズJr.) 鎌田英怜奈
     徳井優  草刈民代 向井理 遠藤憲一 ほか
原作:佐々涼子「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(集英社文庫刊)
脚本:古沢良太 香坂隆史
音楽:遠藤浩二
監督:堀切園健太郎
制作:NHKエンタープライズ
作品ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0B66GL9PH
※作品の視聴には会員登録が必要です。Amazonプライムについて詳しくはamazon.co.jp/primeへ。

文/細谷美香
構成/片岡千晶(編集部)

 

 

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