今年の4月から、銀行を経由せず、スマホの決済アプリなどで直接、給与を受け取れる給与のデジタル払いが解禁されました。日々の生活に決済アプリを活用する人が増えていますが、法律上、給与の受け取りは銀行口座などに限定されていました。今後は、決済アプリで直接、給与を受け取れることになりますが、世の中はどう変わるのでしょうか。

日本の法律(労働基準法)では、賃金の支払いは現金を用いることが原則となっていました。

かつての日本社会では、給料日になると、給料袋に入った現金を直接、会社から受け取る光景がよく見られましたが、1975年から銀行口座への振込が認められるようになり、98年からは証券総合口座への振込も可能となっています。今では給与を現金で受け取る人はほとんどいないと思いますが、銀行口座や証券口座はあくまで現金に準じるものという扱いであり、現金で支払うという大原則は変わっていませんでした。

今回の制度改正によって、スマホ決済サービスなど金融機関以外への事業者の口座に直接給料を振り込むことが可能となったわけです。 

写真:Shutterstock

近年、スマホ決済サービスが急激に普及しており、少額決済については決済アプリを利用する人が増えています。中高年以上の人は、高額な支払いについては銀行振り込みやクレジットカードを利用し、日常的な少額決済はスマホ決済といった使い分けをしているケースが多いでしょう。

 

しかし、スマホ決済サービスの普及が進むにつれて、若年層を中心に、生活のほとんどをスマホ決済サービスで済ませる人も増えてきました。こうした利用者の場合、給与の振り込みが銀行口座に限定されていると、銀行口座から決済サービスにチャージする、あるいは決済サービスの口座と銀行口座をリンクする手間はムダとなります。生活のほとんどを決済サービス上で済ませているのであれば、給与の振り込みも決済サービスを指定した方が合理的です。

 
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