2014年からフランス・パリに暮らすエッセイスト・ライターの井筒麻三子さんは、2020年からYouTubeチャンネル『GOROGORO KITCHEN』をスタートさせました。パリでの日常や蚤の市での買い物、ヴァカンスの様子や、フランス人のお宅へのルームツアーなどの動画を発信しているうちに、今では154カ国35万人が登録する人気チャンネルになりました。
2023年4月には、井筒さんがパリでの暮らしで気付いたことや、フランス人の気質、インテリアや料理を楽しむコツなどを綴った初めての書籍『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』(講談社)を発売。本書の内容を一部抜粋・再編集して特別に紹介していきます。
『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』著・井筒麻三子
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セブンネット
日本で浪費家だった私と、お金をかけない“豊かな”暮らしのフランス人
フランス・パリといえば、世界中から羨望を集める“花の都”。一度は住んでみたい、と憧れの気持ちを抱く人は少なくありません。でも、井筒さんは、実はパリに大した興味を持っておらず、「ビザ取得が楽らしい」という理由からパリにたどり着いたというのです。
パリに何の思い入れもない上に、「フランスの人ってちょっと意地悪そうなイメージだけど、生活していけるのかな」と思っていたそうですが、実際に住み始めてみると、人間らしくて愛おしい人々が多くて、美味しいものがたくさんあって、都会と自然が共存する環境などにすっかり魅了されてしまったのです。
アメリカの大学院を卒業後、日本に戻って出版社に入社した井筒さんの配属先はハイクラス雑誌の編集部。「とにかくおしゃれを頑張らなくてはいけないのだ!」と思い込み、収入のほぼすべてを被服に費やすように。先輩にも「そんなの当たり前よ」と言われ、ファッションや美容は必要経費のようなもの、と思い込んでいました。
でも、フランスで生活するようになって気付いたのが、エルメスのバッグを持ち歩いているフランス人はあまりおらず、パソコンやスマートフォンも最新機種を持っている人は少数派。ちゃんと動いていれば、画面がバリバリに割れていようと、古かろうと気にならないようなのです。
インテリアはシンプルじゃなくていい。フランス人の家はモノでいっぱい
YouTubeチャンネル『GOROGORO KITCHEN』の人気コンテンツの一つが、フランス人宅のルームツアー。仲良しの友人宅から始まって、その友人や知人など、何軒もの知らない家にお邪魔してきた井筒さんですが、「わあ〜、シンプルですっきり、モノが少ないうちだわ〜」と思ったことはほぼないそう。むしろモノがいっぱいで、それは庶民的な家庭であろうと、お金持ちの家であろうと変わらないというのです。
どんなモノが多いのかというと、その人が好きだったり集めていたりするモチーフやコレクションアイテム。某おしゃれブランドの社長さんの豪華な家には、キューピー人形のコレクションがあったそう。また、家族が大切に受け継いできたモノがあるのも、フランス人のお宅ならでは。
ルームツアーで見てきた家は、みんなその人の個性があふれる、唯一無二のたたずまいでした。そこで井筒さんも、自分らしいインテリアを作る基本は、「好きなものをたくさん集めて好きなように飾る」ということに気付いたそう。
井筒さんも、旅先や蚤の市で気になるモノがあれば買ってきて、リビングルームの飾り棚などに並べるようになったところ、いつしかアニマルモチーフのアイテムが増えていくことに。モノがどんどん増えていくものの、どれも愛着があって手放せそうにないし、好きなものに囲まれていると、気分も楽しくなるのでした。
パンの国フランスが、ごはん党の私を変えた!
パリの街を歩けば、いたるところにパン屋さんがあります。しかし、井筒さんは根っからのごはん党で、ダイエットのためにパンは避けてきたそう。パリで暮らしていても、それは変わらなかったといいます。
そんな井筒さんを変えたのは、大家さんから教えてもらった近所のパン屋さん。今はもう残念ながら閉店してしまいましたが、長蛇の列ができるほどの有名店。それほどまでに人気なら一度は食べてみようと試しにクロワッサンを買ったところ、これが絶品! 外側はパイのようにサックサク、でも中はしっとり柔らかで、バターの香りがぶわっと広がり、すっかりパリのパンにハマってしまったのです。
ところで、日本でもおなじみのフランスパンですが、あの細長いパンにはバゲットとトラディションの2種類があることをご存じですか? 井筒さんがそのことを知ったのは、パリ暮らし1年目で通っていた語学学校の「フランス食文化」という選択授業でのこと。
戦後、バゲットが大量生産されるようになって品質が劣化したため、国が1993年に「バゲット・トラディション」という法律を制定しました。トラディションは、小麦、水、塩、酵母だけで作られ、長時間発酵させ、添加物や冷凍も禁止というように、製法を法律で厳格に定めたのです。
半信半疑でトラディションを買って食べてみたところ、確かにバゲットとは似て非なるもの。先生の言う通り、1日経ってカチカチになっていても、霧吹きをしてオーブンで温めるとまた柔らかくなったというのです。今では井筒さんもフランス人と同じように、焼き立て熱々のトラディションを買うと、先端をぱくりと食べるようになり、パン好きのフランス人の気持ちがわかるようになったのでした。
パリの美しい写真や、おすすめショップ、アイテム情報も満載!
本書を彩る、美しい写真の数々を撮影したのは、井筒さんの夫でツーさんことYasさん。ファッションフォトグラファーで、二人はパリで出会って結婚。YouTubeでは動画撮影や編集、サムネイルの写真撮影まですべてをこなしています。
本書では、井筒さんがパリで暮らすうちに気付いたことはもちろん、おすすめショップやレストラン情報、パリの人気スーパー「モノプリ」で買うべきものBEST10、YouTubeでも好評だった、井筒さんが日常的に作っているレシピの数々など、今すぐ活用できる実践的な情報も満載!
もともとフランスが好きな人も、井筒さんのようにさほど興味がない人も、井筒さんの目を通して見えるフランスは、とても魅力的なはず。いつまでも手元に置いておきたい一冊です。
<新刊紹介>
『GOROGORO KITCHEN
心満たされるパリの暮らし』
著:井筒麻三子 写真:Yas
定価:¥1980
講談社
予約受付中!
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パリで働く日本人Mamikoが、暮らしのvlogをYouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」でアップし始めたら、日本人だけでなく、世界中の人たち35万人からの熱い支持が!
色や柄を自由に使った小さいけれど素敵な部屋、フランスの家庭料理も普通の和食も作る日々のおうちごはん、蚤の市でのお宝探し、農家からもらってきた2匹の猫……。
パリのおすすめレストランや、喜ばれるパリ土産もランキング形式でご紹介。
YouTubeでは語りきれない暮らしのコツや素顔のパリのエッセイを美しい写真と共にたっぷりとお届けします。
GOROGORO蚤の市 & POP UPストア
4月17日(月)〜24日(月)
六本木 蔦屋書店
4月23日(日)には、麻三子さん&川良編集長のトークイベントを開催。
トークの後には、サイン会も! リアル参加のチケットは完売していますが、イベントのオンライン参加+サイン本がセットのチケットは販売中です! ぜひご参加くださいね。
*4月23日(日)はトークイベント&サイン会チケットをお持ちの方のみ蚤の市で買い物ができます
詳しくはこちらから>>
井筒麻三子 Mamiko Izutsu
エッセイスト、ライター。米ボストン大学大学院修了後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。『25ans』等の編集者として7年勤めたのち退職し、フリーランスに。ビューティ エディター&ライターとして活動する傍ら、文藝春秋『クレア・トラベラー』編集部にも5年在籍し、旅取材などを担当。2014年よりフランス在住。日本語・英語・仏語の3ヵ国語に通じており、著名人インタビューやパリ、フランスのニュース取材などを数多く手がける。2020年より、パリでの日々の暮らしや蚤の市での買い物、レシピなどを紹介するYouTubeチャンネル『GOROGORO KITCHEN』をMamikoとして、フォトグラファーである夫Yas(愛称ツーさん)と共にスタート。2023年3月現在で、35万人の登録者を誇る人気チャンネルとなっている。
Instagram: @mamigorota